2019年5月13日(月)
児童虐待防止法等改正案 高橋議員の質問
衆院本会議
日本共産党の高橋千鶴子議員が10日の衆院本会議で行った、児童虐待防止法等の改正案(政府案、野党案)に対する質問(要旨)は次の通りです。
|
2017年の児童福祉法改正で、第1条に「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」の理念を加え、児童が権利の主体であることを明らかにしました。これがカラ文句にならないよう社会全体で取り組むときです。
体罰を禁止する明確な規定が必要です。政府案は「しつけに際して、監護及び教育に必要な範囲を超えて当該児童を懲戒してはなら(ない)」との規定(児童福祉法14条)を残しています。体罰禁止規定を設けても、監護・教育の範囲を超えなければ体罰を加えてもよいということになりませんか。
国連子どもの権利委員会は、暴言や脅しなど「あらゆる形態の品位を傷つける取り扱い」の禁止を求めています。子どもの権利条約に懲戒権に関する規定はありません。「正当な体罰がある」との余地を残さず同条約にのっとった規定にし、民法822条の懲戒権の規定は2年をまたず早急に削除すべきです。
体罰をする親の中には体罰や虐待を受けた経験がある方もいます。第14次死亡事例検証委員会の報告では、主たる加害者で最も多いのは実の母親で、約9割が24歳未満、うち半分が10代です。非課税世帯が45・9%に上るなど、精神的・経済的な養育能力の不足が指摘されています。予防も含めた再発防止のための親への支援・教育は極めて重要です。
子どもの意見表明権を尊重することが必要です。親をかばう気持ちや見捨てられる不安や、性虐待など暴力のトラウマなどの複雑な心理状態があります。このことをよく理解した問いかけや、安全でほっとできる環境が必要です。
児童養護施設などでの子ども同士の性的トラブルや施設職員による虐待の実態解明と、第三者調査の徹底、人員配置についての検討が必要です。
関係機関の連携と児童相談所の体制強化が急がれます。児童福祉司の増員を確実にするため配置基準を法定すべきです。自治体の専任職員を増やすために地方財政措置を行い、児童相談所の設置基準を決めて増設すべきではありませんか。
虐待相談で最も多いDVでは、面前DVによる心理的虐待や、被害者の母親が虐待の加害者になる例、夫による虐待を止められない事案が少なくありません。現状のDV対策や体制を早急に検証し、相談員や民間シェルターなどの意見を聞きながら、DV防止法の抜本的見直しを検討すべきです。