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2019年5月11日(土)

米韓協議 北朝鮮交渉復帰が重要

米代表「扉は開かれている」

 韓国を訪れている米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表は10日、康京和(カン・ギョンファ)外相らと相次いで会談し、今後の対北朝鮮政策について集中的に協議しました。韓国外務省によると、ビーガン氏は「北朝鮮が交渉に復帰できる扉は依然として開かれている」と言明しました。(面川誠)


 康氏は北朝鮮による相次ぐ飛翔(ひしょう)体発射について、「南北関係改善と朝鮮半島の軍事的緊張の緩和の努力に何の役にも立たない行為であり、極めて憂慮される」と指摘。同時に「韓国、北朝鮮、米国が、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着のために真剣な対話を行うことが重要だ」と強調しました。

 この後、ビーガン氏ら米代表団は韓国外務省の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長らと共に、対北朝鮮政策を協議する「米韓作業部会」を開催しました。

 韓国外務省は「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着を進展させるための米韓協調方策について、幅広く深みのある協議を行った」と発表。韓国メディアによると、ミサイル発射への対応策、北朝鮮を非核化交渉に復帰させるための方策、深刻な食料不足が見込まれる北朝鮮への人道的食料支援などを協議したといいます。

 このうち9日に北朝鮮が発射した飛翔体については、米国防総省が「短距離弾道ミサイル」だとの見方を示しました。国連安保理決議は北朝鮮に対して、「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射」も禁じています。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も9日、「弾道ミサイルなら国連安保理決議に違反する素地がなくはない」と懸念を示しました。

 ただ、シャナハン米国防長官代行が9日に「われわれは外交を固守するつもりだ」と述べたように、米韓両国とも北朝鮮を対話に引き戻すことを優先しているため、強い非難は避けています。

 非核化交渉の再開に向けては、韓国政府が米朝の折衷案として「包括的合意と段階的履行」を提示しています。「完全な非核化」の具体的内容について「包括的合意」をまとめた上で、さまざまな非核化措置を同時・並行的かつ「段階的に履行」し、各段階で北朝鮮に対する安全の保証や制裁の免除・緩和などの「相応の措置」を取るという構想です。

 人道的食料援助については国連機関が3日、北朝鮮で数百万人に飢餓状態が迫っており、既に人口の約40%にあたる1010万人が食料不足に陥っていると発表しました。韓国政府は2017年に800万ドル規模の支援を国際機関経由で行う計画を立案。これまで米国の反対で実行されていませんでしたが、7日の米韓首脳電話会談でトランプ米大統領が支援への支持を表明したことを受け、具体化の検討に入りました。


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