2019年5月6日(月)
陸自海外共同訓練日報 省内に多数保管か
「調査中」の国会答弁は虚偽?
本紙公開請求に存在前提の通知
2015年の安保法制=戦争法成立以降に陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練の「日報」のうち、防衛省が存在の有無について「調査中」だとして明らかにしていない日報が多数、同省内で保管されている見通しであることが、本紙の情報公開請求で明らかになりました。
この問題では、日本共産党の穀田恵二議員が15年10月~昨年3月までの期間中、陸自が参加した海外での共同訓練の日報提出を求めたのに対して、防衛省は今年3月13日、4月3日の衆院外務委員会で、対象となる訓練は30件あり、うち3件のみ存在が確認されたと答弁しました。穀田氏が「なぜ3件だけなのか」とただしたのに対して、「共同訓練では定時報告の作成は一般的ではない」(3月13日、衆院外務委)と弁明。「なぜ3件については作成されたのか」との質問に対しては、「調査中」などとして答えていません。
一方、岩屋毅防衛相は3月29日付で、「『日報』を含む定時報告文書」の「保有・作成・廃棄」に関する調査を指示しましたが、いまだに新たな日報は確認されていません。
ところが本紙が、存在が公表されている3件を除いて、比較的規模が大きい共同訓練を抽出し、「『日報』を含む全ての定時報告文書」の情報公開請求を3月15日付で行ったところ、防衛省は4月18日付で、少なくとも6件について、文書の保管を前提とした通知を行いました。さらに、18年4月以降の共同訓練についても、少なくとも3件の日報について、存在を前提とした通知を行っています。
通知はこれらについて、いずれも「5月20日までに可能な部分について開示決定等を行う」としています。残りの部分については、開示決定まで1~2年程度かかる見通しです。
こうした記述から、防衛省内に日報が保管されていることは明らかです。「調査中」を理由に国会会期末まで時間稼ぎをしているとすれば、国政調査権を踏みにじる背信行為と言わざるをえません。