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2019年5月5日(日)

主張

こどもの日

生き生きと成長できる社会に

 きょうは「こどもの日」です。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」日で、制定から71年になります。今年は国連で子どもの権利条約が1989年に採択されて30年、日本が94年に批准してから25年です。「こどもの日」の理念や権利条約を生かして、子どもたちが人間として大切にされる日本にしていくことが求められています。

「最善の利益」の考慮を

 権利条約は、子どもを、人権を持つ独立した人格として尊重するとともに、その成長・発達に必要なものが保障されなければならないという理念のもとにつくられました。子どもに関わるすべてのことについて「子どもの最善の利益」が考慮されなければならないとしています(第3条)。その精神は「こどもの日」と重なります。

 ところが日本の子どもたちの状況はどうでしょうか。虐待によって幼い命が奪われる、学校でのいじめや教師の強圧的な「指導」によって死に追い込まれる、体罰もなくならないなど、「最善の利益」どころか、生命さえ奪われるような事件が後を絶ちません。

 子どもの命を最優先した対応を具体的にとることが急がれます。そのために、人の配置、予算の増額、事件があった場合の原因究明、関係者への研修などに、国や自治体が役割を果たすべきです。

 安倍晋三政権のもとで広がる貧困と格差も、子どもたちを脅かしています。貧困ライン以下で暮らしている子どもの割合は7人に1人です。朝食を食べられずに学校にくる小学生、アルバイトで家族の暮らしを支える高校生―。彼らに健康で文化的な生活や学ぶ権利をきちんと保障するのは政治の責任です。

 この間、保護者・住民の運動や日本共産党議員の論戦などを力に、子どもの医療費の無料化、就学援助の入学前支給、学校給食費の無料化などが広がっています。子どもを守ろうという共通の願いにもとづいた取り組みを大いにすすめるときです。

 2月に国連子どもの権利委員会が公表した日本政府の定期報告書に対する最終所見(勧告)では、「社会の競争的な性格により子ども時代と発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置をとること」と述べています。

 学校では学力テストなどで点数競争に追われ、社会では競争に勝ち残らなければ安定した仕事や生活ができない。おとなたちも追い詰められて、子どもとじっくり向き合うことにも困難を抱えている―。そんないまの日本の社会状況では、子どもが子どもらしく生き、人間として成長・発達することが阻害されてしまいます。「社会の競争的性格」を変えていくことが重要な課題となっています。

一人ひとりの声に耳傾け

 権利条約は、すべての子どもが自分に関わることについて「意見を表明する権利」を持っているとしています(第12条)。一人ひとり子どもの声に耳を傾け、その思いに心を寄せて、暮らしや社会、政治に生かしていくことが必要ではないでしょうか。

 子どもたちが、のびのびと生きていける世の中にすること。それはおとなも含めて社会全体が豊かになっていくことにつながっています。


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