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2019年5月3日(金)

安倍政権と天皇代替わり

主権者国民のたたかいでこそ政治は変えられる

編集センター長 藤田健

 「『平成』から『令和』へ、新しい時代の幕開けです」―テレビ、新聞は連日、洪水のように「奉祝」報道を繰り返しています。ニュース番組からニュースがなくなり、祝意の言葉であふれ、社会の雰囲気まで一変させるかのようです。天皇の代替わりや改元によって、時代が、まして政治が変わるわけはないと苦々しく思っている方も多いと思います。

 一方で、代替わり・改元に便乗して「新時代」を繰り返し、あおっている政治家もいます。安倍晋三首相です。

 新元号発表のときは、前例を破って自ら記者会見し、「令和」の意味を解説してみせただけでなく、「一億総活躍社会を作り上げることができれば、日本の未来は明るい」と自らの政策を自画自賛する政治利用ぶり。直後には、5年も先の新紙幣発表も行いました。

 4月23日の改憲派集会に寄せたメッセージでは、「令和元年という新しい時代のスタートラインに立って国の未来像について真正面から議論を行うべき時にきている」と、改元に絡めて改憲に向けた強い執念を表明。1日の「即位後朝見の儀」のあとには、「産経」のインタビューに答え、「大変感激した」「輝かしい令和の時代、一人一人の花が咲き誇る時代を切り拓(ひら)いていきたい」とのべました。

 元号発表会見といい、その後の言動といい、支配者気分で自らの政権が「新時代」を開くかのように美化しています。同時に、国民生活と立憲主義を破壊してきた悪政と国政私物化への批判をご破算にしたい狙いもあります。天皇即位の「奉祝」報道も、「新時代」を強調する安倍政権の狙いを後押しする結果にもなっていないか、検証が必要です。

 しかし、元号が「令和」になろうと、安倍自公政権の悪政が帳消しになるわけでは決してありません。

 安倍政権による消費税8%への増税がきっかけになった消費不況はいまだ続き、家計消費も実質賃金もマイナスのまま。そこへ10%増税が襲い掛かれば、国民生活と日本経済は破壊されてしまいます。

 沖縄の新基地建設は、改元をまたいでも工事が中止されるどころか、工事区域を拡大さえしています。森友・加計問題にはじまった国政私物化は、「安倍・麻生道路(下関北九州道路)」問題へと拡大しています。

 なにより、安保法制=戦争法強行をはじめとした立憲主義破壊の政治は続いています。トランプ米大統領にへつらい米国製兵器の爆買いまですすめています。

 こうした悪政に対して、沖縄では、県知事選・県民投票に続いて衆院沖縄3区補選での「オール沖縄」・屋良朝博氏の勝利で新基地ノーの民意を突き付けています。衆院大阪12区補選をはじめ、市民と野党の共闘も全国で力強く前進しています。

 天皇の代替わり、改元は、憲法の国民主権と民主主義の原則をあらためて問い直すものでもありました。新しい時代、新しい政治は、主権者国民のたたかいでこそ切り開かれる―その責任と自覚を胸に刻むときです。


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