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2019年5月1日(水)

きょうの潮流

 良い時代を―。笑顔で交わす言葉を耳にしました。テレビや新聞に引かれるように、まるで年越しの雰囲気に街も人も染まっているかのようです▼昭和、平成、令和。思いもよらず、三つの元号を体験することになりました。明治や大正から生きてきた人たちは改元のたびに、どんな思いを重ねてきたのでしょうか。たとえ元号が替わっても平和な世を願う気持ちに変わりはありません▼ある目安によって区切られた長い期間。歴史的な特色をとらえて区分した一定の期間。あいまいさを伴う「時代」を辞書で引くと、そんな意味が並びます。国民主権の世にあって天皇在位で時代を分けることに不自然さや不合理を感じている人は多い▼「元号一辺倒の歴史認識は無用なストレスと混乱を引き起こす」。歴史学者の大日方(おびなた)純夫さんが『歴史地理教育』に書いています。連続している時間(タテの流れ)をはかる物差しにはふさわしくない。歴史をヨコの広がりの中で捉えようとするとき、役に立たないと▼時代の区切りといえば、この国は大きな転換を経験しました。現人神(あらひとがみ)とされ、絶対的な存在だった天皇のもと破滅に突き進んでいった戦前。そして、世界に先駆けた新しい憲法のもとで国民が主人公になった戦後。その色分けは鮮やかです▼強制すべきではない新元号を国柄と絡ませ、新しい時代の始まりや希望のごとく吹聴する安倍首相。しかし、いまや時代は上からの押しつけではありません。それをつくっていくのは、われわれ自身です。


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