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2019年4月21日(日)

日米2プラス2

日米の「脅威」 対象変わる

北朝鮮から中ロへ

 19日(日本時間同日深夜)に開かれた日米の外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、日米同盟強化の前提となる「脅威」の認識で際立った変化がみられました。

口実崩壊

 北朝鮮の核開発・弾道ミサイル発射が加速していた2017年8月に開かれた前回の2プラス2共同文書では、同国について「地域及び国際の平和と安定に対する増大する脅威」だと指摘。「圧力」をかけ続けることも明記していました。

 これに対して、今回の共同文書では、米朝首脳会談など「最終的かつ完全に検証された非核化」を目指す「米国の外交努力」に言及する一方、北朝鮮を直接的に「脅威」とみなす文言は消え、「圧力」についても、国連安保理決議の履行への言及にとどまっています。日米同盟強化・軍拡の最大の口実となった北朝鮮「脅威」論が通用しなくなったことを如実に示しています。

 ポンペオ国務長官は共同会見で、非核化をめぐる北朝鮮との交渉について、「成果を得る真の好機がまだあると確信している」との見方を示しました。

 一方、共同文書は中国の海洋進出を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現を強調。ポンペオ氏は、インド太平洋地域での「とりわけ中国による地政学的競争と威圧的試み」に対し4閣僚が懸念を共有したと名指しで批判しました。

 共同文書が、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな戦闘領域を含む「領域横断作戦」を「(日米の)防衛関係を前進させる中核的目標」だと強調したのは、こうした新領域での台頭を狙う中国とロシアを念頭に置いたものとみられます。

説明責任

 とりわけサイバー分野で、「悪意のあるサイバー活動」が、日米の「脅威」になっていると指摘。日本に対するサイバー攻撃が、日米安保条約第5条に基づく「武力攻撃」に該当しうると初めて明記しました。

 ただ、「武力攻撃」と認定するには、攻撃主体が国家であることが大前提であり、サイバー空間で攻撃主体を特定するのは容易ではありません。さらに、「サイバー攻撃」に対する反撃として通常兵器の使用は排除されないのかどうかも明確ではありません。「サイバー攻撃」の定義も明確ではありません。

 日本政府には説明責任が求められます。(竹下岳)


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