2019年4月20日(土)
主張
消費税・萩生田発言
増税断念に追い込む審判の時
自民党の萩生田光一幹事長代行が、安倍晋三政権が10月から強行を予定している消費税の増税について、6月の日銀の短期経済観測調査(短観)などを見て、「この先危ないぞ」と見えてきたら、「違う展開はある」と、見送りの可能性に言及しました。また「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」とも述べました。
消費の不振が続き、いよいよ景気の悪化は鮮明になり、消費税増税の道理のなさは明白です。与党幹部さえ増税見送りを口にせざるを得なくなる中、きっぱり断念に追い込む国民の審判が重要です。
政府も認める景気の悪化
萩生田氏の発言は、18日放送のインターネット番組、「虎ノ門ニュース」でのものです。この中で同氏は景気が「ちょっと落ちている」と認め、「崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかない」、与党としても、6月の日銀短観などをよく見て、「対応していきたい」と、消費税率の10%への引き上げを見送ることもあると述べました。
6月の日銀短観は7月1日に発表予定です。しかし、その時点まで、増税中止の判断を待つ必要は全くありません。経済情勢の悪化は、隠しようがないのが実態です。
安倍首相が、2012年に第2次政権を発足させてから「戦後最長」の「景気回復」と自慢してきた経済情勢は、今年になって、14年4月の消費税増税以来の消費の低迷に加えて、米中の貿易摩擦などの影響を受けた輸出の不振が明らかになっています。政府自身「下方への局面変化」(内閣府の景気動向指数)にあることを指摘せざるを得ません。18日発表の政府の4月月例経済報告も、「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」と、改めて経済情勢が低迷していることを認めました。
最近の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル日本版(4日付)の社説も、「不安出(い)ずる国、日本の消費増税」と題して、「安倍首相の増税は自分で自分の首を絞めることになるだろう」と記しました。
萩生田氏が、増税見送りの際は「信を問う」と衆院の解散・総選挙を持ち出したのも、いま強行しようとしている消費税増税が、民意に反したものであることを浮き彫りにするものです。
萩生田氏の発言に対して、菅義偉官房長官は18日の記者会見で、「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、10月に(消費税率を)10%に引き上げる」と、あくまでも増税強行に固執しました。麻生太郎副総理・財務相も、同日行った三村明夫日本商工会議所(日商)会頭との会談で、増税を前提に協力を要請しました。いずれも、現実の経済情勢悪化に背を向ける、言語道断な姿勢です。
選挙でノーの声突き付け
萩生田氏の発言を受け、日本共産党の志位和夫委員長は、「政権与党の中からも増税への動揺の動きが出てきたことは重要だ」と指摘し、「増税を断念に追い込むたたかいを強めたい。とくに目前の選挙戦で『増税ノー』の審判を下すことがいよいよ大切になってきた」と強調しました。
全国津々浦々で増税反対の世論と運動を広げるとともに、21日投票の大阪12区・沖縄3区衆院補選での市民と野党の候補の勝利、統一地方選後半戦での日本共産党の前進で、安倍政権もろとも、消費税増税策動を打ち砕きましょう。