2019年4月17日(水)
国保 大幅値上げ現実に
19年度 5万~10万円も 審判下そう
6月ごろまでに各市町村が決める2019年度の国民健康保険料・税について、少なくとも、東京23区を含む311市町村が改定料・税率を決め、うち半数近い140市町村が値上げしたことが、16日までに日本共産党の調査で分かりました。いまでも高すぎるのに年5万~10万円も値上げされるなど、安倍政権の圧力で大幅・連続値上げが起きている実態が浮き彫りになりました。今後も値上げが相次ぐ危険性が高まっています。国言いなりの悪政を許すのか、住民生活を守るのかが自治体に厳しく問われています。
日本共産党の志位和夫委員長は3月14日の記者会見で、大幅・連続値上げの危険が迫り、「給与年収400万円・4人世帯(30代夫妻と子2人)」のモデル世帯では19年度、全国8割の市町村に平均4万9千円増の圧力がかけられていると警告していました。
改定状況の調査結果では、311市町村の改定料・税率をモデル世帯にあてはめて計算すると、半数近い140市町村が値上げとなりました。残り半数は据え置きで、値下げしたのは24市町村だけでした。
値上げ幅をみると、すでに5万円以上の事例が出ているうえ、値上げした140市町村のうち6割の84市町村が18年度から2年連続の値上げとなります。志位氏が指摘したように大幅・連続値上げが現実化しています。
さらに東京特別区の場合は、千代田区をのぞく計22区が国の悪政を先取りして10年連続で値上げを強行。モデル世帯の国保料は2倍化し、年収の1割を超える42万~44万円台に高騰しています。
一方、改定料率を決めた311市町村は、加入世帯数では824万世帯で全体の半数近くを占めますが、市町村数ではまだ2割足らずにすぎません。19年度の値上げストップ、20年度以降の連続値上げストップへ、21日投開票の統一地方選後半戦で審判を下す時です。
安倍政権 公費削減ありき
共産党伸ばして大幅値下げ
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各地で起きている国民健康保険料・税の大幅・連続値上げには、安倍政権が2018年度からの「国保の都道府県化」で設けた公費削減ありきの仕掛けが大きく作用しています。
「国保の都道府県化」で安倍政権は、市町村が国保料の値上げを抑えたり、独自の減免制度を実施したりするために行ってきた一般会計からの公費繰り入れを削減・廃止させようと計画。都道府県が繰り入れ分を除いて算定した「標準保険料率」に合わせて値上げするように、市町村に圧力をかけています。
圧力働く
「給与年収400万円・4人世帯(30代夫妻と子2人」のモデル世帯でみると、19年度の値上げを決めた140市町村のうち最も高い上げ幅は年10万2千円増で、8位までが5万円以上となっています(表A)。標準保険料率どおりに改定すれば平均4万9千円の値上げになるという圧力が働いて、実際に大幅値上げが起きています。
ただ、多くの市町村は標準保険料率と比べ、実際は5~9割の値上げ幅でした。そのため、20年度以降のさらなる値上げを狙う市町村が出ています。
埼玉県上尾市では、住民運動を背景に12年度から国保税率を据え置いてきましたが、19年度は公費繰り入れを半減して値上げすると決定。加入世帯の8割が値上げを強いられることになります。
市は「もう一度くらいは税率改正が必要かなと推測している」(18年12月)とさらなる値上げの方向を示しており、子育て世代から「子どもの給食費や教材費だってかかるのに、国保税は高すぎて払いきれない。何とか頑張って」と日本共産党への期待の声が寄せられていました。それらを力に県議選で議席奪還を果たしました。
モデル世帯が18年度から2年連続の値上げとなる84市町村では、表Aの上位10市町村以外で2年間の値上げ幅が最も高いのが9万2千円増で、9位までが5万円以上でした(表B)。
84市町村のうち53市町村の標準保険料率が、高齢化による給付費増などで18年度より19年度の方が高くなっています。「標準保険料率というゴールまで走ることを迫られるうえに、ゴール自体がどんどん引き上げられていく」(志位氏)という問題が現実化しているのです。
10年連続
また、東京特別区での10年連続値上げによる2倍化のほか、標準保険料率以上に値上げする例(大阪府貝塚市・枚方市など)が出るなど、自治体の悪政が問題になっています。
いまでも高すぎて支払えない人が多数いるにもかかわらず、安倍政権は無慈悲な正規保険証の取り上げや、強権的な財産差し押さえの強化を自治体にすすめさせています。
モデル世帯で19年度が年4万1千円増の49万8100円になる鹿児島県霧島市では、17年6月に悲痛な事件が起きました。
国保税の滞納で無保険状態になっていた自営業者の50代女性が、医療機関を受診するため短期証を発行してもらおうと市役所を訪れていた際に倒れ、そのまま急性心不全で亡くなったのです。
全日本民主医療機関連合会の調査で分かっただけでも、生活苦で国保料が払えず無保険状態になるなどして受診を我慢せざるをえなかった「手遅れ死」が17年は全国で63人もいました。高すぎる国保料が住民の命や健康、暮らしを脅かしています。霧島市では、値上げで「同じことが繰り返されるぞ」と批判する声が出ています。
19年度改定を決めたのは、まだ全市町村の2割にも満たないため、国言いなりの大幅・連続値上げを許すのかどうかが統一地方選の後半戦で重大争点となっています。
日本共産党は、後半戦と夏の参院選での躍進で都道府県化を中止・撤回させると主張。全国知事会が求めた1兆円の公費投入を消費税増税に頼らず実現し、国保料を大幅に値下げすることや、滞納者に対する強権的な制裁措置をやめさせることを掲げ、住民生活を守ろうと訴えています。
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