2019年4月12日(金)
ブラックホール 初撮影
地球サイズの“瞳” 存在を直接証明
国際観測チーム
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史上初めてブラックホールを直接撮影することに成功したと、日本も参加する国際観測チームが10日夜、発表しました。南米チリのアルマ望遠鏡など電波望遠鏡の地球規模の観測網で口径1万キロメートルの“巨大な瞳”をつくって高い視力を実現。存在が予言されて約1世紀、強い重力で光さえ脱出できないブラックホールを黒い影としてとらえました。(関連記事)
日本チーム代表の本間希樹(ほんま・まれき)国立天文台教授は会見で「100年かけてジグソーパズルの最後の1ピースが埋まった」と述べました。
観測したのは、地球から約5500万光年の距離、おとめ座銀河団に属する楕円(だえん)銀河M87の中心にある巨大ブラックホール。本体は真っ黒ですが、周辺の高温ガスが放つ光(電波)を強い重力で引き寄せ“光の衣”をまとった状態を撮影しました。ドーナツ状に見える光の衣は直径約1000億キロメートル。地球から見ると、月面に置いたテニスボール程度と小さく、これまで観測は不可能でした。
今回、アルマのほか、スペイン、米国、ハワイなど8基の望遠鏡で2017年4月に同時観測。約2年かけてデータを画像化し、月面のゴルフボールを見分けられる「視力300万」を実現しました。
ブラックホールの直径は約400億キロメートルで質量は太陽の約65億倍と見積もりました。
本間さんは「光さえ出さない事実を視覚的に疑いなく表し銀河の真ん中にブラックホールが存在することを決定づける。たった1枚の写真だが大きな意味をもっている」と強調しました。