2019年4月11日(木)
アイヌ差別 国策が原因
塩川議員指摘 政府「重く受け止める」
衆院国交委 新法案可決
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日本共産党の塩川鉄也議員は10日の衆院国土交通委員会で、アイヌ民族を「先住民族」と初めて明記するアイヌ新法案について質疑し、政府の歴史認識と同法案の意義をただしました。
塩川氏は「明治維新から現在に至るまで、北海道開拓と『北海道旧土人保護法』等による政府の土地政策・同化政策が、アイヌ民族の言語も民族固有の文化も奪い、差別と偏見を生み出した」として政府の認識を質問。石井啓一国交相は「政府の同化政策により差別と貧窮がもたらされたことは重く受け止める」と答えました。
塩川氏は、アイヌの人々の間にある、政府の反省と謝罪を求める声を重く受け止めるべきだと述べ、「政府の施策により言語や文化を奪われて差別を受けた歴史を国民全体の認識にする責任が政府にはある」と主張しました。
また、古老の人々の生活困窮が深刻だとして、「政府として、低年金・無年金の実態の把握と要因の分析、生活保障・生活向上策の抜本強化が必要だ」と強調。本法案の策定過程について「当事者であるアイヌの人たちが参画し、多様な意見をくみ尽くしたと言えるのか。少なくない批判が寄せられていることを重く受け止めるべきだ」と述べました。
さらに、「先住民族の権利に関する国連宣言」を受けて2008年に採択された、アイヌ民族を先住民族とするよう求める国会決議と本法案の関係を質問しました。石井国交相は「国連宣言と国会決議を踏まえた」と答え、現行のアイヌ文化振興法との違いについて「アイヌの人々が先住民族だという認識の下、文化振興に加え、地域・産業・観光振興等を総合的に推進する」と説明。内閣官房の橋本元秀アイヌ総合政策室長は、国連宣言の趣旨を「第1条『近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み』の部分で示した」と答弁しました。
塩川氏は「本法案に盛り込んだ『民族としての誇りをもって生活するための環境整備』が、アイヌの人々の生業(なりわい)につながることが重要だ」と強調しました。
同法案は、同委員会で、日本維新の会を除く各会派の賛成多数で可決しました。