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2019年4月11日(木)

デニー県政支えるヤラさん勝利を

衆院沖縄3区補選 対決構図は鮮明

安倍政権丸抱えの島尻氏

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(写真)街頭演説に集まった市民と握手を交わすヤラ氏(中央)=9日、沖縄県名護市

 衆院沖縄3区補選(21日投票)が9日、告示されました。同補選は玉城デニー沖縄県知事の昨年の知事選出馬に伴って実施されるもので、沖縄と日本の未来を左右する夏の参院選に直結します。デニー知事の後継で同県名護市辺野古米軍新基地建設に反対する「オール沖縄」のヤラともひろ候補の必勝のために、安倍政権丸抱えの相手候補に総力を挙げて挑まなければならない大激戦です。

辺野古新基地ノー

 補選では「県民の立場で国政の場からデニー県政を支える人を選ぶのか、安倍政権の立場でデニー県政を妨害し、県民の総意を否定する人を選ぶのか」―そこが一番のカギとなります。

 補選には、知事選や今年2月の県民投票に続いて辺野古新基地ノーの不動の民意を示し、強権で新基地建設・埋め立て土砂投入を推進する安倍政権に、痛烈な審判を下す大きな意義があります。

 ヤラ氏の勝利で、新基地建設中止と米軍普天間基地(同県宜野湾市)の即時閉鎖・撤去に大きく近づきます。

 ヤラ氏は9日の街頭演説で「辺野古の海を壊して基地を造るという考えで、どうやって子どもや孫たちに明るい未来を約束することができるのか」と安倍政権を批判し、辺野古新基地反対の明快な自身の立場を強調。「普天間基地は一日も早く返還させて跡地利用で地域のために使い、経済発展の原動力とすべき」だと訴えました。

 ヤラ氏と同日に名護市内で演説した稲嶺進前市長は、「やんばる(沖縄本島北部)の振興・発展を目指すならば、基地経済で取り戻すということは絶対にありえない。軍事基地こそ沖縄経済発展の最大の阻害要因だ」と強調しました。

消費税増税許さず

 ヤラ氏は、県民生活に大きな影響を与える安倍政権の消費税10%増税を許さず、デニー県政を国政の場から支える立場を表明。ヤラ氏を国会に送り出すことは、好調な沖縄経済の発展、県政が進める子どもの貧困対策や県民の命と暮らしを守る政策をさらに前進させることにもなります。

 そして、オール沖縄や市民と国政野党の共闘を前進・発展、参院選での勝利・躍進、自公与党と補完勢力を少数に追い込み、野党連合政権への道を開くことにつながります。

 稲嶺氏は「ヤラ候補は鉄軌道を導入し、観光で北部をもっと元気にするという政策を打ち出している。沖縄経済が自立するための方法だ」と訴えました。

子どもの貧困対策

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(写真)街頭演説で必勝のために「頑張ろう!」と三唱するヤラ氏(右)ら=9日、沖縄県うるま市

 ヤラ氏は公約として、翁長雄志前県政からデニー県政へ引き継がれている就学援助と給付型奨学金制度の拡充、デニー県政が実現を目指すバス通学無料化など、子どもの貧困対策の強化を県政と力合わせて取り組むことも表明しています。

 待機児童の解消、夜間保育・学童保育の拡充、少人数学級の実現、北部の医療体制や在宅医療の充実も掲げています。

 デニー知事は9日のヤラ氏の出発式で、「私の後継候補としてヤラともひろさん、人物としては申し分ない。あとは名前を皆さんの力で広げていただく。そうすれば知名度に勝る相手候補に追いつき、追い越すことは十分可能です。ぜひ、そのお力を貸してください」と呼びかけました。

 ヤラ氏が対決するのは、元沖縄北方担当相で自民党公認(公明、維新が推薦)の島尻安伊子氏。9日の演説で普天間基地の危険性の除去のため、「今、建設中の辺野古に移させていただく」と新基地建設推進を明言しました。新基地問題が選挙の大争点であることは明確です。

 島尻氏は、具体的な見通しも示さずに「アジアの安全保障、国際情勢が落ち着いた時に、辺野古(新基地)の滑走路が、民間でも使える可能性を模索したい」と、まやかしめいたことも付け加えて主張しています。

宣伝・対話の大飛躍を

 補選の現情勢は、オール沖縄・ヤラ陣営にとって「容易ならざる事態」です。3区の全14市町村のうち12人の首長が相手陣営側。基礎的力関係で上回る相手側が、選挙戦の取り組みは先行しています。元沖縄北方担当相の知名度を生かして基礎票を固めて勝利しようという戦略です。

 9日も、相手陣営の市長や県議らは演説で、「子どもの貧困問題の解決が島尻安伊子のライフワークだ」「オール沖縄の候補を(国会に)送っても県民の生活向上にはつながらない」「ぜひこぞって期日前投票してもらう。その声かけ運動を」と候補の押し上げ、中傷攻撃、取り組みを強めるよう呼びかけました。

 相手側の演説を聞いていた市民から「(新基地建設は)普天間基地の返還のためにはやむを得ない」(うるま市で60代男性)「新基地で米軍機の飛行が増えるのは心配だけど、もう建設中だし、複雑な思いです。病院整備や子育て支援、経済格差の解消に期待する」(名護市で50代女性)などの声が聞かれました。

 オール沖縄・ヤラ陣営には、大義や争点、展望を有権者に鮮明に伝え、力関係を変えるために無党派層の獲得が必要です。総力で宣伝・対話・支持拡大の大飛躍をつくろうと取り組んでいます。

 うるま市でのヤラ氏の街頭演説に駆け付けた平安山香代子さん(74)は「普天間基地は無条件で返して当然の場所。宜野湾市民を人質にとるような辺野古新基地を押し付ける論法は卑劣です。新基地ができれば辺野古の豊かな自然は戻らない。沖縄の民意を補選でも示すため、力を振り絞って頑張りたい」と語りました。

ヤラともひろさんはこんな人

 ヤラともひろさん(56)は1962年、沖縄県北谷(ちゃたん)町生まれ。フィリピン国立大学を卒業後、沖縄タイムス社に入り、主に沖縄の基地問題を担当し、論説委員、社会部長を歴任しました。現在はフリージャーナリストで、妻の直美さんと子ども5人の7人家族です。

 ヤラさんが基地問題に力を注ぐようになったきっかけが、タイムス入社後の1995年、沖縄で起きた米兵による少女暴行事件です。「何とかしなければいけない」と、基地問題がライフワークになりました。

 尊敬する人は、米軍統治下で県民の人権と暮らしを守るため、命がけで圧政とたたかった瀬長亀次郎さん。

 ヤラさんの訴えに力がこもります。「生活と暮らし、子ども、お年寄り、自然、文化、人権、ウチナーンチュ(沖縄県民)の誇りを守りましょう。経済自立を目指し、米軍基地問題などの課題に立ち向かい、未来の沖縄を開くときです」


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