2019年3月22日(金)
主張
原発と統一地方選
再稼働ノー、ゼロへ道開こう
東京電力福島第1原発の事故から8年余、原発政策の根本的転換を求める国民世論に逆らう安倍晋三政権の姿勢が浮き彫りになっています。首相がトップセールスで進めてきた原発輸出は総崩れになり、国内でも原発再稼働は住民・自治体の反対などに直面し、矛盾を広げています。それでも安倍政権は原発推進への固執をやめようとしません。統一地方選とそれに続く参院選は、安倍政権に審判を下し、再稼働ノー、原発ゼロへ道を開く重要な機会です。
“原発依存社会”に戻すな
安倍政権は、福島原発事故後に停止していた原発を次々と再稼働させ、現在、9基の原発が運転しています。発電量に占める原発の割合は約3%です。
安倍政権は再稼働にさらに拍車をかけようとしています。昨年7月に閣議決定した「エネルギー基本計画」は、原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置づけ、2030年度に電力の「20~22%」を原発でまかなう方針を明記しました。現在の発電割合を何倍にも引き上げようというものです。これを実現するには廃炉が決まっているもの以外の、既存原発をすべて動かすだけでは足りません。島根3号機(島根県)や大間原発(青森県)など建設中の原発や、計画中の原発をすべて動かすことになります。
日本を“原発依存社会”に逆戻りさせる、とんでもない計画です。
国策として推進してきた原発輸出が破綻したのは、安全対策費がふくらむ高コストの原発が“斜陽産業”として見放されてきているためです。安倍政権の原発固執は世界の流れに逆行しています。
昨年の北海道地震によるブラックアウト(全域停電)は、電力供給を1カ所の大規模発電に依存することの危険性をまざまざと示しました。電力の安定供給には分散型への転換が必要だったのに、北海道電力は泊原発を再稼働させることを優先し、リスク分散への投資を怠ってきました。原発に頼ろうという姿勢の弊害を浮き彫りにしています。
原発固執は、再生可能エネルギー普及の障害になっています。それは、九州電力が昨年来繰り返している太陽光発電などの「出力制御」(一時的な受け入れ停止)からも明らかです。川内(鹿児島県)や玄海(佐賀県)の原発4基を再稼働させ、太陽光による発電を圧迫するというやり方では、再エネが広がるはずがありません。伊方原発(愛媛県)を再稼働させた四国電力なども太陽光発電の制御の動きを見せており、再エネ拡大を妨げる「原発回帰」をストップさせることが、いよいよ必要になっています。
地方から転換迫る審判を
原発は立地自治体・周辺自治体にとって文字通り住民の命と安全に直結する問題であるとともに、日本のエネルギーの将来にかかわる全国的な課題です。日本共産党など野党4党が国会に共同で提出した「原発ゼロ基本法案」を審議し実現することが急がれます。提出から1年以上も審議に応じようとしない自民、公明の責任は重大です。
統一地方選挙では、安倍政権と自民・公明に厳しい審判を下すとともに、日本共産党を躍進させ、「原発ゼロ」を求める声を地方からはっきり示しましょう。