2019年3月15日(金)
論戦ハイライト
無謀な日米貿易交渉やめよ
紙氏 家族農業への支援強化要求
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日本共産党の紙智子議員は14日の参院予算委員会で、日米貿易交渉に臨む政府の姿勢をただすとともに、国連が呼びかけた家族農業への支援を強化するよう求めました。
「TPP以上」に
紙氏は、牛肉を例に、米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11=昨年12月発効)の関税率と、日米貿易交渉が合意に達した場合を比較(グラフ上)。TPP11では、最終的に2033年に9%になる一方、日米貿易交渉の開始が遅れる下で新たな枠組みスタートが20年にずれ込んだ場合、33年の関税率は12・6%で、TPP11加盟国より3%高くなると指摘しました。
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紙 米国食肉輸出連合会は、関税引き下げがTPP11より遅れて不利になるとして、TPP以上を求めたいと言っている。過去の協定の水準さえ守れなくなるのではないか。
安倍晋三首相 日米共同声明(18年9月)での「過去の経済連携協定で約束した内容が最大限」との合意を大前提に交渉する。
紙 米国は、TPP水準を下回るなら離脱した意味がなくなる。「TPP以上」を要求してくるのではないか。水準を守れるのか。
首相 日米合意が大前提だ。
過去の水準を守ると明言しない安倍首相に対し、紙氏は、「TPP自体、日本農業に重大な犠牲を負わせるものなのに、その水準さえ守られる保証がない。無謀な日米貿易交渉は中止するべきだ」と強く求めました。
生産基盤弱体化
紙氏は、安倍政権による市場開放の推進で、食料自給率が過去最低水準に落ち込み、生産基盤が弱体化している(グラフ下)とも指摘。「事態を深刻に受け止めているか。自給率をどう引き上げるのか」と問いました。
安倍首相は「生産基盤の弱体化といった状況を正面から受け止め(ている)」と述べたものの、打開策は答えませんでした。
紙氏は、「農業生産の98%を占める家族農業への支援が大事だ」と強調。国連が今年から28年までを「家族農業の10年」と位置づけ、各国政府に、家族農業に関する公共政策の策定や、「家族農業10年」への積極的な財政支援を提起していることを挙げ「日本もわがこととして取り組むべきだ」と求めました。
吉川貴盛農水相は「国際会議でわが国の経験を発信したい」と述べるにとどまりました。
紙氏は、家族農業支援について、安倍首相がかつて、「共産党の主張というより自民党の主張だ」と豪語していたと追及しました。
紙 答弁以降、安倍政権は何もしてこなかった。補助金は大規模化、法人化が条件とされている。家族農業への支援を強めるべきだ。
首相 中小農家は、第6次産業化、高付加価値化を支援している。
紙氏は、「土地生産性は小規模の方が高い。地域経済や文化を発展させてきたのも中小規模農業だ。規模拡大や法人化を条件にするのをやめるべきだ」と重ねて主張しました。