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2019年3月11日(月)

主張

東日本大震災8年

「置き去り」にしない復興こそ

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生からきょうで8年です。未曽有の大規模広域災害による犠牲と被害は甚大で、岩手、宮城、福島の3県を中心に5万人超が避難生活を続けるなど深刻な課題は山積したままです。避難の長期化、復興の立ち遅れの中で、被災直後と異なる新たな苦難に直面している人が数多くいます。被災者一人ひとりの切実な声にこたえた、きめ細かな支えが求められます。国は支援の手を緩めることなく、責任を果たすべきです。

きめ細かな対策を手厚く

 住まいを失った被災者が入居する災害公営住宅(復興住宅)は、3県で計画された約3万戸がようやく完成予定ですが、入居者への支援が重要となっています。

 プレハブ仮設で顔なじみだった人と別の住宅となって周囲との関係が薄れ、単身の高齢者などは孤立しがちです。災害公営住宅で誰にも気づかれずに亡くなる「孤独死」は増加しています。災害を生き抜いた人の命が、このような形で失われることはあってはなりません。ところが見守りや心のケアをはじめ、入居者を支える公的な支援員が常駐する住宅は一部です。入居者の状況を日常的に把握し支援できる人員配置など手厚い仕組みを整えることが急がれます。

 仮設住宅の被災者支援は引き続き大切です。経済的事情などで住まいが確保できず、4月以降プレハブ仮設住宅には約600世帯1300人、民間住宅を借り上げた「みなし仮設」には2300世帯以上が残ると報じられています。入居者が減ったプレハブ仮設団地では管理が困難になるなどのケースもあります。取り残される被災者を生まない丁寧な対策が不可欠です。災害直後から壊れた自宅で生活を続けざるをえない在宅被災者への支援強化は待ったなしです。

 福島県では県発表でも、なお4万1000人以上が避難を強いられています。このほか「自主避難者」も多くいます。長引く避難の中で震災関連死は2200人以上にのぼり、直接死を上回るなどの深刻な事態が続いています。

 多くの福島の被災者は、原発事故が奪った、ふるさとでの平穏な暮らしをいまも取り戻すことができません。帰還困難区域以外での避難指示は解除されましたが、居住率は23%です。戻ろうとして自宅を整備した人も、周囲に病院や買い物ができる場所もないため帰還を見合わせるなどしています。戻った人も、戻っていない人も苦悩しています。避難指示解除を理由に支援・賠償の打ち切りをすすめることは許されません。

 原発事故の賠償責任を果たさず、被害者切り捨てをすすめる国と東電の姿勢は重大です。被災者を画一的に線引きせず、被災者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで責任を持つべきです。

真に寄り添った施策を

 人口減少や高齢化などをはじめ被災地は大きな困難を抱えたままです。安倍政権は「復興・創生期間」を2020年度で終えますが、その後の方針具体化はこれからで、支援の縮小につながらないかと警戒と不安の声が絶えません。この8年の被災地の深刻な状況は、安倍政権の下での被災者支援・復興の問題を浮き彫りにしています。上からの押し付けの施策でなく、被災者に真に寄り添った支援・復興への転換こそが必要です。


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