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2019年3月9日(土)

主張

政府の経済統計

「最長景気」 化けの皮はがれた

 昨年10~12月期の国内総生産(GDP)の改定値が発表され、前期(7~9月期)に比べた実質の伸び率は0・5%でした。先月発表の速報値よりわずかに上昇したものの、この伸びが1年間続くと仮定した年率換算でも1・9%、政府目標にも届かない低さです。改めて経済の低迷を浮き彫りにしました。とりわけGDPの約6割を占める個人消費は0・4%の伸びに低下し、消費の不況は依然深刻です。こうした中で、安倍晋三政権が10月から消費税の増税を強行すれば、暮らしと経済に壊滅的な打撃を与えるのは必至です。増税中止は待ったなしです。

落ち込みはごまかせぬ

 安倍政権は2012年末の首相の政権復帰から経済の拡大が続き、「景気拡大」は「戦後最長」になったと宣伝してきました。しかし毎月勤労統計調査の不正・偽装などで、政府の経済統計自体の信頼性が揺らいでいます。その統計でみても0・5%の低い伸びというのでは、「最長景気」の化けの皮は、たちまちはがれます。

 GDPの内訳は、個人消費(民間最終消費支出)が低い伸びにとどまったほか、民間住宅投資が1・1%、大企業の好調な業績を背景にした民間設備投資が2・7%それぞれ伸びました。一方で、公共投資(公的固定資本形成)は1・7%のマイナス、米中の貿易摩擦の影響を受けている輸出も輸入分を差し引いた純輸出で0・3%のマイナスと、経済の行き詰まりを浮き彫りにしています。

 18年1年間を通してみても、前年に比べたGDPの伸び率は0・8%にとどまり、個人消費は0・4%しか増えていません。

 「景気拡大」自体、国民の実感からかけ離れたものです。経済の専門家からはすでに、「戦後最長」の「景気拡大」は、終わったとの見方も出ています。GDP以外の経済統計を見ても、先月末に発表された1月の鉱工業生産指数(速報値)は前月比3・7%低下し、3カ月連続のマイナスです。1月の景気動向指数(一致指数)も2・7ポイントのマイナスとなりました。景気動向指数は政府が景気の拡大・後退を判断する指数です。景気の基調判断も「足踏み」から約4年ぶりに「下方への局面変化」に下方修正されました。

 安倍政権が「拡大」していると自慢してきた雇用も、1月の有効求人倍率は横ばいです。完全失業率は2カ月ぶりの悪化で、完全失業者は172万人に上ります。家計調査の消費支出も1月は実質2・0%の伸びにとどまりました。

 国内景気が後退局面に入ってきたことは、ごまかしようがありません。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかです。

増税中止は待ったなし

 国民はもちろん企業関係者や経済学者からも「いまのタイミングで消費税を上げたら、間違いなく消費は冷え込んでしまう」(鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)、「私は消費増税には反対」(ノーベル賞を受賞したクルーグマン教授)、「消費税を増税すれば消費と税収は縮小する」(元内閣官房参与の藤井聡京都大教授)との発言が相次いでいます。

 どんなに「十二分の対策」をとっても、“百害あって一利なし”の消費税増税は中止すべきです。失政を反省しない安倍政権の退陣こそが求められます。


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