2019年3月3日(日)
主張
原発ゼロの実現
日本の未来への責任果たす時
東京電力福島第1原発事故から8年になる中、安倍晋三政権の原発推進路線がいよいよ矛盾を深めています。「成長戦略」の柱にしてきた「原発輸出」はすべて破綻し、国内でも原発再稼働は思惑通りにすすんでいません。「高コスト」の原発に見切りをつける国際的潮流が広がるもとで、原発から脱却する政策への転換が重要になっています。野党4党が国会に提出した「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)を審議し、実現することが急がれます。
脱原発が世界の流れ
原発ゼロ基本法案は、福島原発事故以来の原発ゼロ、原発再稼働反対の国民的な運動に後押しされ、昨年3月8日に日本共産党、立憲民主党、自由党、社民党が衆院に共同提出したものです。
▽再稼働を認めず、すべての原発の運転を速やかに停止し、廃止する▽省エネにつとめ、2030年までに30%以上電力需要を減らす▽再生可能エネルギーの利用を進め、30年には電力の40%以上にする▽原発周辺の経済振興と雇用の確保を図る―などが柱です。「原発ゼロ」を掲げた法案が国会に提出されたのは、史上初めてです。
国会提出から1年―。国内外のエネルギーをめぐる動向は、原発ゼロ基本法案の方向こそが現実的であり、未来を開く政策であることを明らかにしています。
それを劇的に示したのが「原発輸出」の総崩れです。福島原発事故以降、「安全対策」のためのコスト急騰など採算に合わないことが世界ではっきりしてきたのです。
エネルギー分野で有名な米国の投資銀行が、電源別に新設事業の発電コスト(1千キロワット時当たり)を発表しています。最新データでは、10年は原子力が96ドルだったのが、18年には151ドルに上昇しました。一方、太陽光パネルは248ドルから43ドル、風力は124ドルから42ドルへと大きく低下しました。
国内でも、電力会社の原発「安全対策」費は、11社で約4兆6000億円に上り、13年度の約1兆8000億円から約2・5倍に高騰しました。「ビジネス」としても成り立たない原発にしがみつく道理のなさは明白です。
甚大な被害を出し、いまも収束の見通しがない福島原発事故は、原発の抱える危険性を鮮明にし、「安全神話」は完全に崩壊しました。安倍政権と電力業界が推進する原発再稼働の企ても、各地で立地地域の住民や自治体の反対の声に直面しています。最新の世論調査でも再稼働反対が56%(「朝日」2月19日付)と多数です。
経団連会長が国民的議論の必要性を口にせざるをえないのも、推進勢力の矛盾のあらわれです。政治の意思として原発ゼロを決断する原発ゼロ基本法を実現し、政策の根本的な転換をはかることは、将来に対する責任です。
野党と市民の共同を広げ
9日には「原発をなくす全国連絡会」の「福島を忘れない3・9全国集会」(東京・上野公園)、10日には、首都圏反原発連合の国会前大集会、21日には「さようなら原発」1千万署名市民の会の全国集会(代々木公園)が開かれるのをはじめ、各地で多彩な取り組みが行われます。市民と野党の共闘の力で、原発固執の安倍政権を退陣に追い込み、原発ゼロの日本への道を開きましょう。