2019年2月24日(日)
国民の「実感」まで否定する安倍首相
総崩れの消費税増税 根拠繰り返し
消費税10%増税計画の中止を正面から迫った日本共産党の志位和夫委員長の国会論戦(12日の衆院予算委員会)で、安倍晋三首相は自ら主張してきた増税根拠が総崩れとなる事態に追い込まれました。ところが安倍首相はなおも破たんした理屈を繰り返し、「国民の実感」まで否定する悪あがきをしています。
政府は1月発表の月例経済報告で「戦後最長の景気回復」と自慢しています。しかし、報道各社のどの世論調査でも「景気回復を実感している」は1割台。逆に「実感していない」は6~7割と圧倒的多数(グラフ)です。
他の野党も追及
なぜ国民は景気回復を実感できないのか。そこに横たわる日本経済と国民生活の問題にズバリ切り込んだのが志位質問でした。
日本経済の6割を占める家計消費が消費税8%増税(2014年)を契機に激しく落ち込み、いまだに回復できていない▽安倍首相が「所得環境は着実に改善している」と自慢しても物価上昇分を差し引いた実際の賃金である実質賃金はマイナス▽安倍首相が「380万人就業者が増えた」といっても、増加のほとんどが生活苦で働きに出た高齢者や学生―という事実を浮き彫りにし、安倍首相も認めざるをえなくなったのです。
志位質問で示した論点は、その後、他の野党議員も取り上げ、「国民が、自分の暮らしがよくなっているかどうかと一番実感するのは実質賃金。それが安倍政権になってマイナスではないか」(立憲民主党・大串博志議員、18日の衆院予算委)、「400万人近く雇用が増えたといわれているが、それはお年寄り、現役世代の女性、高校生や大学生。この人たちの顔を思い浮かべたときに、総理がいうほど景気がよくなったとか仕事ができたからとか、そんな単純な話でいいのか」(同党の小川淳也議員、同)などと追及しました。
これに対し安倍首相は「実感は実質(賃金)なのか。この前共産党の志位さんと議論した」と12日の衆院予算委での志位氏との論戦にふれ、「共産党は民主党政権時代に実質賃金が上がったことを誇った」「それはデフレだから。デフレ自慢でしかない」などと、名目賃金が上がっているから問題ないとまくしたてたのです。
しかし志位氏が示したのは、民主党政権時代の実質賃金の平均賃上げ率が2・59%だったのに対し、安倍政権のもとでの平均賃上げ率は1・1%だという事実です。
志位氏が「デフレのときは(物価が下がっているから)、賃金が名目で上がらなくても購買力は保たれる」「今は物価上昇に賃金が追いついていない。今世紀最高の賃上げなどというべきではない。最悪水準だ」と切り返すと、首相は反論できなくなりました。
首相の独り相撲
380万人の就労者増の多くが生活苦によるやむを得ないものだとただされても安倍首相は「雇用を増やしたことを悲観的に見るというのは、驚くべき経済的姿勢だ」「年をとっても仕事はできる状況にはなってきた」「一国全体の総雇用者所得の状況を示すものではない」と強弁しました。
安倍首相がいかに「消費は持ち直し」「賃金は過去最高」「総雇用者所得は増えている」などと繰り返してもむなしい独り相撲。この議論は、国民の実感とかけ離れているという致命的な弱点をもっているからです。
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