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2019年2月23日(土)

主張

記者会見質問封殺

国民の知る権利の重大な侵害

 平日に2回行われる菅義偉官房長官の定例記者会見に際して、首相官邸の報道室長が、東京新聞の特定記者の質問を執ように妨害し、同室長が会見を主催する「内閣記者会」に、事実上、特定記者の排除を求める文書を送ったことが、重大な政治・社会問題になっています。記者会見で質問するのは、国民の「知る権利」にもとづく記者の使命です。その質問の妨害や封殺は、記者の質問権はもとより、国民の「知る権利」を侵害する許しがたいものです。

疑問ただすのは当然

 当該記者が所属する「東京」が、20日付の紙面で詳しく検証したように、「内閣記者会」が主催する記者会見で、上村秀紀報道室長が進行役を務め、特定記者の質問だけ、「簡潔にお願いします」とか、「後の日程がありますので、次の質問、最後でお願いします」と邪魔し、官房長官もまともに答えないことが相次いでいます。昨年12月末には報道室長が「内閣記者会」に文書を送り、当該記者の質問に「事実誤認」があったと、事実上会見からの排除を求めました。長谷川栄一広報官も再三、「東京」に申し入れています。

 当該記者は一昨年から官房長官の記者会見に出席し、「森友」問題や「加計」問題、沖縄での米軍新基地の建設などで、積極的に質問しています。昨年末問題にされたケースも、新基地建設のための埋め立てに使われている土砂に赤土が混入しているのではないかという疑問をただしたものです。

 憲法21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定めています。「内閣記者会」主催の記者会見で、所属の記者が自由に質問するのは、「言論・報道の自由」はもちろん、国民の「知る権利」の根幹に関わります。「内閣記者会」を押しのけて、官邸の報道室長が会見を取り仕切るのも問題ですが、特定記者の質問をやり玉にあげて、報道室長らが「事実誤認」などと攻撃するのは、まさに異常の極みです。

 経過を検証した「東京」は、記者会見は「権力者のためでもなければメディアのためでもなく、それは国民のためにあります」として、「民主主義の根幹である国民の『知る権利』に応えるための重要な機会」であると、「これまで同様、可能な限り事実に基づいて質問と取材を続け」ますとの編集局長見解を発表しました。

 「東京」、「朝日」や複数の地方紙も相次いで社説を掲げ、「『質問制限』容認できぬ」(「朝日」8日付)、「『質問』は何のためか」(同22日付)、「知る権利を守るために」(「東京」19日付)と批判しました。勇気ある記者とメディアに、連帯することが重要です。

首相自身の姿勢問われる

 異常な質問妨害や官邸の申し入れは、労働組合やメディア関係者らも批判し、たびたび国会でも取り上げられています。ところが安倍晋三政権は、「記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害するもの」との質問主意書に、「指摘は当たらない」と居直った答弁書を閣議決定しています(15日)。

 ことは官房長官や、広報官・報道室長の責任にとどまらず、首相の姿勢に関わる重大な問題です。安倍政権の報道規制を徹底的に追及し、強権政治を許さず、退陣に追い込むことが求められます。


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