2019年2月14日(木)
消費税10%やめて 視覚障害者の思い
低所得者直撃 鍼灸院 患者減り閉めた
ポイント還元 カード持てず 恩恵なし
安倍政権が10月から狙う消費税率10%への増税は、家計を直撃します。その影響は低所得者ほど大きくなります。障害者団体「きょうされん」の調査(2016年)では、障害がある人の98・1%が年収200万円以下です。消費税を増税させないよう選挙で政治を変えたい―。視覚障害のある人たちの思いを聞きました。(岩井亜紀)
「5%だった消費税が14年4月に8%に上がったとき、開業していた鍼灸(しんきゅう)治療院の患者さんがどーんと減ってしまった。それで、15年に治療院は閉じました」。小日向光夫さん(66)=東京都江東区=は、肩を落とします。「家賃の契約更新時に30万円ほど用意しなければならず、さらにそれ以降も月々約12万円の家賃を支払い続けられる自信がなくなったからです」
安倍晋三首相が施政方針演説で「障害者の皆さんにも、やりがいを感じながら、社会でその能力を発揮していただきたい」と述べたことにふれ、「それならこれ以上の消費税増税はやめるべきだ」と強調します。
年々減る収入
川井由美さん(47)は、障害年金と都の心身障害者福祉手当(月1万5500円)、最低生活費に足りない分を生活保護で補い、板橋区で1人暮らしをしています。「パソコン訓練に通っていますが、お昼ご飯をコンビニで買わないようにしています。高くついてしまうので」
川井さんの収入は年々減っています。安倍政権が13年8月から、生活保護のうち生活費などに充てる生活扶助費を段階的に引き下げたうえ、18年10月からさらに引き下げたからです。
安倍政権は消費税増税にあたり、「プレミアム商品券」を発行し、「負担を軽減」するとしていますが…。「そんなものは一時しのぎにすぎない。国民をばかにしています」と川井さんは憤ります。
また、視覚障害者の多くは、キャッシュレス決済でのポイント還元の“恩恵”にあずかれません。
「自分で署名が書けないから、クレジットカードは持っていません」と大楽(だいらく)スミヨさん(69)=東京都豊島区=。年金が削減されるなか、フルーツなどの「ぜいたく品」は買わずに暮らしています。
「ポイント還元されるのは、カードを持っている人だけ。不公平ではないですか」と語気を強めます。
福祉手当増を
障害がある人たちに冷たく厳しい政治が続くなかで今、小日向さん、川井さん、大楽さんが参加する東京視覚障害者協会は、福祉手当増額を求めて署名活動をしています。1万人分を目標にし、点字77人、点字以外の墨字で5251人分集まりました(1月31日現在)。
「障害者の生きる権利につながる福祉手当は都に増額を求めていきたい。同時に、今度の選挙では日本共産党の議席を伸ばして、国民一人ひとりの生活を向上させる政治に変えたい」。3人は声をそろえます。