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2019年2月9日(土)

主張

「森友」発覚2年

徹底糾明は、ますます必要

 大阪の学校法人「森友学園」に、豊中市内の国有地が破格の安値で売却されたことが発覚して、2年を迎えました。安倍晋三首相の妻の昭恵氏が開設予定の小学校の「名誉校長」を務めていたことなど、首相夫妻との深い関係が次々と判明。国会での虚偽答弁や公文書の隠ぺい・改ざん・廃棄が行われるなど、民主主義の根幹を揺るがす、前代未聞の事態に発展しました。疑惑の究明も責任の明確化も尽くされていません。いま焦点の統計不正をはじめ、安倍政権の隠ぺい体質をただし、責任を取らせることが不可欠です。

破綻した値引きの根拠

 豊中市の市議会議員が、「森友」に売却された国有地の価格が公表されていないと2017年2月8日に情報公開訴訟を起こし、翌日付で「朝日」などが報道して、問題は一気に表面化しました。

 その後の報道や、日本共産党の国会追及などで、売却価格は鑑定価格から8億円も値引きされていたことが分かりました。「森友」理事長が、昭恵氏と学校予定地を視察した写真を財務省に見せたことや、昭恵氏がお付きの政府職員を通じて財務省に問い合わせたこと、理事長が「棟上げ式に昭恵氏が来る」と財務省に伝えたことなどが国有地の異例な貸し付けや、値引きのきっかけになった疑いが深まりました。

 安倍政権は一貫して昭恵氏らの証人喚問などを拒否する一方、首相は国会で「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と開き直りました(17年2月17日)。その答弁の後、当時の財務省の佐川宣寿理財局長が「資料は廃棄した」とか、「値引きは新たなゴミが見つかったためだ」との答弁を重ねました。首相の答弁が、隠ぺいの引き金だったことに、疑問の余地はありません。

 その後の追及で、昭恵氏の名前などが書かれた交渉記録や決裁文書が見つかり、財務省も虚偽答弁などを認めました。「新たなゴミ」が出たという説明も、深さを示す証拠写真そのものが同じ写真を使い回ししたでたらめなもので、値引きの根拠が破綻しています。

 財務省は佐川氏らを形式的に処分しただけで、安倍首相も、国有地の処分に監督責任がある麻生太郎副総理・財務相も居座りを続けています。首相は繰り返し、「丁寧」に説明すると発言しましたが、今年の通常国会の施政方針演説でも一言も触れないなど、“だんまり”を決め込んでいます。

 国有地は国民の共有財産であり、隠ぺい・改ざんされた公文書は、国民共有の知的財産です。国有地の異常な値引きや、立法府を軽視した国会での虚偽答弁、公文書の隠ぺい・改ざん・廃棄は、あいまいにできません。安倍政権は、昭恵氏らの国会への証人喚問・参考人招致などを受け入れ、真相を明らかにして、首相は「首相も国会議員も辞める」という言葉通りの責任を取るべきです。

国民の7割「納得」せず

 昨年末の世論調査でも、「森友」問題や、獣医学部開設のために行政を私物化した疑いの「加計学園」問題での安倍政権の説明に「納得していない」回答が、72%を占めています(「毎日」12月17日付)。

 深まる一方の政府統計の不正・偽装とともに、「森友」や「加計」の問題を徹底して糾明し、安倍政権に退陣を迫ることが必要です。


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