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2019年2月6日(水)

防大生いじめは違法

福岡地裁 加害学生に賠償命令

“恣意的指導”を断罪

 幹部自衛官の養成機関である防衛大学校(神奈川県横須賀市)で上級生にいじめや暴行などを受け休学に追い込まれた元防大生が、加害学生8人に合計約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁でありました。足立正佳裁判長は加害学生7人について違法行為を認め、計95万円の支払いを命じました。


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(写真)元防大生への暴力、いじめを違法と認める判決を報告する集会=5日、福岡地裁前

 元防大生は入学後に、上級生らから体毛に火をつけられたり、暴行を受けたりしました。無料通話アプリ「ライン」で自分の“遺影”写真などを送り付けられたこともありました。

 判決は、上級生が下級生のミスをポイントにしてポイントがたまると罰ゲームをやらせる「粗相ポイント制」を断罪。「気分次第で、恣意(しい)的に運用され、指導対象となる違反行為とはかかわりがなく、何らかの教育的効果を上げ得るものではなく、一面的で幼稚な発想によるもので採用することはできない」と指摘しました。

 元防大生は国にも損害賠償を求めています。この訴訟は、加害学生への損害賠償請求とは分離されています。

 報告集会で原告の元防大生は「慰謝料の賠償命令は1人が免責されたが、7人に命じるなど良い判決と思う。賠償額の低さは残念だが、防大での事態が伝えられたので良かった。今回の判決を残された国の責任を問う裁判で生かしていきたい」と語りました。

 弁護団は「防大による教育の根幹をなす『学生間指導』を理由にした『粗相ポイント制』による暴力、いじめなどの違法性を認めたことは画期的だ」と評価しました。


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