2019年2月3日(日)
主張
「戦後最長」いうが
「回復」どころか悪化した景気
安倍晋三政権が1月29日に公表した月例経済報告で、「景気は、緩やかに回復している」として、2012年12月から始まった「景気回復」が、「戦後最長になったとみられる」(茂木敏充経済財政・再生相)との判断を示しました。国民の実感は「回復」どころか、所得も消費も伸び悩み、貧困と格差が拡大して、景気は悪化しています。だいたい、不正・偽装が相次ぐ政府の経済統計を使って、「景気回復」と言っても説得力がありません。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明白です。国民の暮らし最優先の経済政策を実現する、政治の転換こそ必要です。
賃金も消費も伸び悩み
安倍政権の月例経済報告は、「個人消費は、持ち直している」「設備投資は、増加している」などと、いいことずくめで書いています。国民生活の足元を見れば、「改善」しているという雇用は賃金の安い非正規が中心で、賃金は伸び悩み、消費は14年4月の消費税増税のあと、落ち込んだままです。
偽装が判明した厚生労働省の毎月勤労統計調査でも、現金給与総額の伸びは再集計の結果、「公表値」から「修正値」で大幅に引き下がりました。昨年1月から11月までの「修正値」の伸びはほぼゼロです。調査対象事業所を変えず共通のデータで計算した「参考値」では実質マイナスとなり、明らかに悪化しています。
「持ち直している」という家計消費も、14年4月の増税前に比べ年間25万円も落ち込んでおり、消費不況は深刻です。少しでも安い物をと必死にやりくりしている国民から見て、「景気回復」などというのは、しらじらしいどころか、怒りの対象でしかありません。
安倍首相は国会で、「(毎勤統計の)伸びだけで、アベノミクスの成果と強調したことはない」とか、「(企業がもうかれば所得や雇用が増えるという)トリクルダウンと言ったことはない」と言いました。開き直りとはこのことです。今国会の施政方針演説でも、「成長の果実をしっかりと分配に回すことで、次なる成長につながっていく」とか、「アベノミクスは今なお、進化を続けています」と、自慢したばかりではありませんか。
安倍政権が「景気回復」が「戦後最長」というのは、12年12月からの「景気回復」が74カ月で、02年2月からの73カ月を上回ったからだといいます。しかし、今回の「回復」期間の国内総生産(GDP)の伸び率は、実質年平均1・2%と低く、2%の成長をという政権の目標どころか、前回の平均1・6%にも届きません。
「戦後最長」の「景気回復」どころか、「戦後最長」の“足踏み”というのが実態です。「アベノミクス」の破綻は隠せません。
消費税の増税など論外
異常な金融緩和と財政支出の拡大で、円安や株高を進めれば、企業のもうけが増え、「デフレ」からの脱却や経済成長が実現するというのが「アベノミクス」のもともとの筋書きでした。ところが大企業のもうけはため込みに回り、国民の暮らしはいっこうに良くなりません。賃金が上がらないのに増税や社会保険料の引き上げで、国民が消費に回せる可処分所得は、大幅に減少しています。
安倍首相が固執する10月からの消費税増税など論外です。増税中止は文字通り、待ったなしです。