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2019年2月2日(土)

安倍政治に未来はない

小池書記局長の代表質問

 日本共産党の小池晃書記局長は1日の参院本会議での代表質問で、消費税10%への増税や「全世代型社会保障」、民意無視の無法な米軍新基地建設、憲法9条改定など、深刻な破たんに陥った安倍暴走政治を痛烈に批判しました。「こんな政治に未来はない。市民と野党の共闘で、安倍政権の一日も早い退陣を求めてたたかいぬく」と表明しました。(質問全文)


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(写真)参院本会議で代表質問する小池晃書記局長=1日

統計不正を再調査せよ 消費税増税に道理なし

 小池氏は厚生労働省の毎月勤労統計不正を追及しました。統計不正による雇用保険などの過少給付は、2000万人以上に被害が及んでいます。小池氏は、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子(えみこ)代表が「二重三重に国に裏切られた」と述べていることに触れ、「この声にどう答えるのか」とただしました。

 安倍首相は「過労死等の労災認定は適切に対応する」などと述べるだけでした。

 統計不正に関する厚労省の特別監察委員会の調査は、大半を厚労省職員が行うなど、中立性が問題となっています。小池氏は「まさに『組織的隠ぺい』だ」と批判。安倍首相への報告が昨年12月28日になったのは、同日の新聞報道で隠しきれなくなったからではと追及しました。根本厚労相は「指摘は当たらない」と強弁しました。

 小池氏は、厚労省から独立した組織が統計不正を再調査し、国会で資料提出・関係者招致し真相解明するよう求めました。

 安倍首相が連合の調査を基に「5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げ」と述べていることについて小池氏は、これは名目の賃上げ率で、物価上昇分を差し引いた実質では1%程度にすぎないと指摘。「逆に今世紀に入って最低ではないか」と糾弾しました。安倍首相は「所得環境が改善しているとの判断に変更はない」と述べ、指摘を認めませんでした。

 小池氏は、ポイント還元などの消費税増税対策を「戻すくらいなら最初から増税しなければいい」と批判。消費税が法人税や所得税などの穴埋めに使われてきたと告発し、富裕層や大企業の応能負担で10%増税分の税収を確保できると強調しました。

 安倍首相は「10月に10%に引き上げる方針に変わりはない」と、増税強行の姿勢を示しました。

低年金で貧困が深刻化 国保負担の軽減は急務

 小池氏は、安倍首相が施政方針演説で「全世代型社会保障への転換とは、高齢者の福祉サービスを削減するとの意味では全くない」と述べたことを取り上げ、「実態はどうか」と問いかけました。

 深刻化する高齢世代の貧困と不安の増大の大きな原因の一つが低年金です。国民年金のみの受給者の平均年金額は月5・1万円、年金受給者の7割が年金額年200万円未満。小池氏は、こうした深刻な実態の中で、年金をさらに削ろうとしているのが安倍政権だと告発しました。

 19年度は「マクロ経済スライド」など給付抑制の仕組みが発動されます。物価は1%上がっているのに年金は0・1%しか上げず、0・9%の実質削減です。安倍政権発足後の7年間をみると、5・3%の物価上昇の中で年金は0・8%の引き下げとなり、物価と年金は6・1%も乖離(かいり)しました。小池氏は「これで高齢者の生活水準が維持できると言うのか」とただしました。

 首相は全世代にわたる社会保障削減計画には触れず、低所得の高齢者への対策は「社会保障全体で総合的に講じる」などと述べました。

 首相が誇る高齢者の就労増加について小池氏は、内閣府の調査を示して、高齢者世代が就労継続を希望する理由がドイツなどでは「仕事そのものが面白い、自分の活力になるから」が1位なのに日本では「収入が欲しいから」が1位だと指摘。「年金給付を抑制しながら『生涯現役の社会』を掲げれば、それは“年金に頼らず、死ぬまで働け”というメッセージにしかならない。これが、総理の言う『1億総活躍社会』か」と批判しました。

 小池氏はさらに、高すぎる国保料・税の問題で、全国知事会・全国市長会などが求めてきた「子どもの均等割の軽減」の「検討」の約束はどうなったのかと追及。首相は「国と地方の協議の場で引き続き議論する」と述べました。

 小池氏は、国保の1人当たり保険料水準は、公的医療保険の中でももっとも高く、組合健保の1・7倍だと指摘し、「『全世代型社会保障』を言うなら全世代にわたり重すぎる国保負担の軽減は急務だ」と迫りました。

辺野古工事は中止せよ 普天間は無条件撤去を

 小池氏は、政府が沖縄県の民意を無視して強行する辺野古新基地建設工事の中止や普天間基地(宜野湾市)の無条件撤去などを求めました。

 埋め立て区域の軟弱地盤の存在を政府が2年もの間隠ぺいしていた問題に関し、小池氏は、安倍首相が地盤改良の必要性を認める一方、今後の工期や費用を明らかにできないことに言及。「赤土を含む違法な土砂投入を続け、新たな護岸まで建設するのは言語道断だ」と批判しました。

 小池氏は、普天間基地は1945年に米軍が住民を強制収容している間に民有地を囲い込んでつくったものだと述べ、戦争中の私有地没収を禁じた「ハーグ陸戦法規」に違反すると指摘。普天間基地の「辺野古への移設が唯一の解決策」とする安倍政権に「国際法違反だという認識はあるか。無条件返還が当然だ」と迫りました。安倍首相は「国際法に照らしさまざまな議論があることは承知している」と述べ、国際法違反を否定できませんでした。

 小池氏は「(県との)対話を一方的に破壊し、沖縄の人々の思いを踏みにじっているのが安倍政権だ」と批判。米国に普天間基地撤去を求めることや、屈辱的な日米地位協定の抜本的改定を要求しました。

 また、小池氏は、政府が狙う「いずも」型護衛艦の空母化に関し、岩屋毅防衛相が「攻撃型空母には当たらない」とする一方、「攻撃型空母という定義ははっきりとない」と述べた矛盾を追及。空母化は「攻撃的兵器を保有することはいかなる場合にも許されない」としてきた政府の立場をもじゅうりんするものだとして、「F35Bの離発着が可能になれば、明らかに他国に打撃を与える能力を持つことになる。『専守防衛』の建前すら投げ捨てる政府の憲法破壊を断じて許すわけにはいかない」と批判しました。安倍首相は、自衛隊員の安全確保などを挙げ、「自衛のための必要最小限度のもので、攻撃型空母には当たらない」などと強弁しました。

日米FTA交渉中止を

 昨年9月の日米首脳会談で合意した日米貿易協定交渉をめぐり、日本政府は「物品貿易協定」とし、「包括的なFTA(自由貿易協定)ではない」と説明しています。小池氏は、米通商代表部(USTR)が昨年12月に発表した22の交渉項目のうち、「物品貿易」は一つにすぎないと指摘。通信・金融を含むサービス貿易、投資など広範囲にわたり、為替まで入っているとして、「まさに『包括的なFTA』そのものだ」と強調しました。

 安倍首相はサービス全般の自由化などは「想定してない」とするだけで、「包括的なFTAと異なる」と強弁。小池氏は「日本農業を壊し、経済主権を米国に売り渡す日米FTA交渉はただちに中止を」と求めました。

国民は安倍改憲望まず

 小池氏は、安倍首相が施政方針演説で改めて改憲議論を呼びかけたものの「総理が改憲を声高に訴えるほど、改憲を求める世論は減少を続けている」と痛烈に批判。テレビ番組で自民党の萩生田光一幹事長代行が「不思議なことに世論調査で『安倍首相が進める改憲』と聞くより、ただ改憲について聞く方が賛成が多い」と述べたと紹介すると議場に失笑がもれました。

 小池氏は、国民は改憲を望んでいないと強調し、「憲法尊重擁護義務を課された総理が、自らの権力行使の抑制を緩めるための改憲論議を国会に求めること自体が立憲主義の乱暴きわまる否定だ」と批判しました。

 安倍首相は「国民の声に耳を傾け、真摯(しんし)に受け止めたい」としながら、憲法審査会での各党の議論を求めました。


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