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2019年2月2日(土)

運用制度変更の破綻鮮明

公的年金で巨額損失

 「みなさんの大切な年金は株で運用している。年金資産は5年半で53・6兆円も増加し、株が高くなったことで年金の財政は強固なものとなった」

 安倍晋三首相は昨年8月、地元・山口県での講演で、公的年金積立金の株式運用をアベノミクスの実績として紹介しました。

 ところが10月から株式市場は暗転。米中貿易摩擦や欧州政治の不透明感、米アップル社の業績下方修正によって、日経平均株価は2万4千円台から年末には一時、1万9千円台まで落ち込みました。

 わずか3カ月で約15兆円、株式運用だけでみても14兆5千億円に上る損失を出した背景には、国内債券から株へと年金資産を大幅に移し替えた2014年の公的年金積立金制度の改悪があります。

 経済指標として株価を最重視する安倍政権は、株高を演出するための資金として公的年金積立金に着目。アベノミクスが2%の物価上昇を目標に掲げるもと、従来の国内債券中心の年金資産運用は「目標が著しく低い」との理屈で株式市場への公的年金の巨額投入へと道を開いたのです。

 しかし、いまにいたるまで2%の物価上昇は一度も実現していません。株式比率引き上げの前提自体が完全に破綻しています。

 07年7月以降の世界金融危機に際し、公的年金は株式運用で20兆円近い損失を出しました。このとき株式比率は約2割。安倍政権が5割に引き上げた現在、同様の危機が起これば損失額ははかり知れません。年金基盤を危うくした安倍政権の責任は重大です。

 ちなみに、安倍首相があげた53・6兆円のうち5・1兆円は大部分を民主党政権が担った12年10~12月の運用益。10兆円は国内債券など株以外の運用益です。ここでも安倍政権は数字を偽装しています。

 (佐久間亮)


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