2019年1月31日(木)
謎の旧人デニソワ人が作製?
シカの歯 ペンダント
南シベリアのデニソワ洞窟で見つかっていたシカの歯を加工してつくったペンダントは、謎の旧人デニソワ人がつくった可能性があると、ドイツのマックスプランク人類史学研究所のカテリーナ・ドウカ博士たちの国際研究グループが31日付の科学誌『ネイチャー』に発表しました。
40年ほど前から発掘が行われているデニソワ洞窟では、ネアンデルタール人の骨や、小指の骨から抽出したDNAにもとづくゲノム(全遺伝情報)からネアンデルタール人の姉妹種とみられるデニソワ人の骨や歯、デニソワ人の父とネアンデルタール人の母から生まれた女の子の骨、さらに石器、動物の骨や象牙でつくったペンダントなどの人工物が見つかっています。
研究グループは、ネアンデルタール人やデニソワ人がいつごろどのようにデニソワ洞窟を利用していたのかを明らかにするため、さまざまな方法で骨や歯、人工物の50の試料について年代測定を行いました。
その結果、デニソワ人は早ければ19万5000年前からデニソワ洞窟に住んでいたこと、アカシカやヘラジカの歯を加工してつくったペンダントの製作年代は4万9000年前から4万3000年前であることなどがわかりました。
従来、ペンダントなどの装飾品の製造は現生人類(ホモ・サピエンス)が始めたとされてきました。しかし、研究グループは、デニソワ洞窟では現生人類が当時住んでいたことを示す証拠が見つかっていないことなどから、デニソワ人がシカの歯を加工してペンダントをつくった可能性があるとしています。