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2019年1月29日(火)

日本共産党議員団総会での志位委員長のあいさつ

 日本共産党の志位和夫委員長が28日の通常国会開会にあたって開かれた議員団総会で行ったあいさつは次のとおりです。


 みなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。通常国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

毎月勤労統計不正問題について

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=28日、衆院第2議員会館

国政ゆるがす大問題――被害と影響はきわめて甚大

 まず、国政をゆるがす大問題になっている厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題について、わが党の立場を述べておきたいと思います。

 統計不正による被害と影響はきわめて甚大であります。

 まず、雇用保険や労災保険などで2000万人をこえる人々に実害をもたらしたことは重大です。また、毎月勤労統計という基幹統計で不正が行われたことで、政府の経済認識、景気判断、税・社会保障・労働に関わる政策判断にも影響が及んでいます。来年度予算案の審議の前提を揺るがす事態が起こっているのであります。さらに、政府が発表する統計を国民は検証する術(すべ)をもちません。そこでの不正は国民の政府への信用を根底から破壊するものといわなければなりません。

 被害と影響はきわめて甚大であり、私たちは徹底的な真相解明を求めてたたかいたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

「二重の不正」――組織的隠蔽の事実を認めよ

 この問題では、「二重の不正」が行われていました。

 統計不正は2004年以来のものですが、厚労省は、2018年1月から不正調査を統計上「修正」する措置を秘密裏に行っていました。不正調査の事実を知りながら、国民に報告せず、国民に隠れて「修正」を行った。これを組織的隠蔽(いんぺい)といわずして何というのか。統計不正は、この段階で、より悪質となり、犯罪性は格段に高くなったといわなければなりません。

 ところが、厚生労働省が設置した特別監察委員会の報告書では、この組織的隠蔽を否定する結論を出しました。とんでもないことであります。私は政府に、組織的隠蔽の事実を認め、その経過と責任を洗いざらい明らかにすることを強く求めたいと思います。(拍手)

安倍政権による政治モラルの大崩壊が統計不正の温床となった

 統計不正が行われた温床は何か。厚労省が不正調査の「修正」を始めた18年1月から、不正が発覚する12月までの間は、裁量労働制のデータねつ造、森友「公文書」の改ざん、外国人労働者のデータねつ造など、安倍政権による隠蔽、改ざん、ウソが次々と明らかになり、大問題になった時期であります。安倍政権が引き起こした政治モラルの大崩壊が、統計不正の温床になったことは明らかではありませんか。

真相解明は予算案審議の大前提――予算委での集中審議を

 統計不正の真相解明を行うことは、予算案審議の大前提となります。日本共産党は、予算委員会での集中審議をはじめ、徹底的な真相解明を最優先で行うことを強く求めるものであります。(拍手)

この国会をどうたたかうか

参院選前に与党は「守り」の姿勢――「攻めに攻める」論戦を

 この国会をどうたたかうか。

 政府・与党は、参議院選挙を意識して、与野党対決法案の提出を抑制すると伝えられています。相手は、はなから「守り」の姿勢であります。それならば、「攻めに攻める」論戦とたたかいに取り組もうではありませんか。

 今年のたたかいの課題については、すでに「党旗びらき」のあいさつ、全国都道府県・地区委員長会議への報告などで詳しく述べております。

 消費税10%への大増税を許さず、暮らし第一で経済をたてなおす改革を進める。大軍拡と憲法9条改定など「戦争する国づくり」を許さない。沖縄の辺野古新基地建設を断念に追い込む。「原発ゼロの日本」をめざす。この四つの柱をしっかりすえて、国会論戦に取り組んでいきたいと思います。

 議案で言えば、来年度政府予算案が、最大の対決議案となります。国民に大増税を押し付けながら、憲法違反の大軍拡に踏み出す。その問題点を徹底的に究明し、抜本的組み替えを提起してたたかう決意を述べたいと思います。(拍手)

統計不正との関係でも消費税10%への増税の根拠は崩れた

 一つ一つの課題について繰り返す必要はないと思いますが、情勢の進展を踏まえて若干の点を述べておきたいと思います。

 一つは、毎月勤労統計の不正問題との関係でも、消費税10%への増税の根拠が崩れたということです。

 統計不正によって、昨年の賃金の伸び率が実態よりもかさ上げされていたことが明らかになりました。かさ上げされた数値をもとに、政府は、「月例経済報告」などで「賃金は緩やかに上昇している」との判断を行い、安倍首相は、その判断をもとに昨年秋、消費税10%の実施を宣言しました。

 しかし先日、厚労省が公表した修正値では、昨年の賃金の伸び率は、1~11月の月平均でほぼ0%と全く伸びていない。すなわち「賃金が増加している」という政府の認識は虚構だったのであります。

 この点でも、消費税の増税の根拠は崩れたといわなければなりません。少なくとも統計不正の事実解明抜きに増税強行など論外ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

沖縄県民投票の大成功にむけ連帯を強めよう

 いま一つは、沖縄の問題です。

 2月24日に行われる県民投票は、県議会の全会一致で投票方式が確定し、全市町村が参加して取り組まれることになりました。これは民主主義と住民自治を求めた県民の世論と運動がつくった大きな前進であります。

 県民投票を大成功させるため、沖縄との連帯をさらに強めようではありませんか(拍手)。同時に、私は、県民投票にあたって、安倍政権に、今回ばかりは、その結果を尊重することを、強く求めたいと思います。(拍手)

安倍外交――対米従属、対ロ屈従でいいのか

 安倍首相は「戦後外交の総決算」ということを繰り返しております。しかし、安倍外交の内実はあらゆる分野で破綻に陥っている。これが実態であります。

トランプ大統領言いなりで武器の「浪費的爆買い」、FTA交渉入り

 対米外交はどうでしょうか。

 トランプ大統領に言われるまま、高額の武器の「浪費的爆買い」に走っている。国民にウソをついて、FTA(自由貿易協定)交渉に入り、食料主権・経済主権を売り渡そうとしています。文字通りの従属外交というほかありません。

 「総決算」すべきは、このような対米従属外交だということを、私はいいたいと思います。(拍手)

日ロ領土交渉にみられる屈従外交――戦後処理の不公正をただす立場にたってこそ

 対ロ外交はどうでしょうか。

 この間の安倍首相の言明――「日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させる」、「私の任期中に日ロ領土問題に終止符を打つ」――期限を区切って平和条約を結ぶ――こうした言明にてらせば、安倍首相の方針というのは、結局、国後・択捉の領土要求ははなから放棄し、最大でも歯舞・色丹の2島返還で平和条約を締結して領土問題を終わりにしてしまう、「2島で決着」論とならざるをえないと、私は思います。歴代自民党政府の方針すら自己否定し、ロシア側への全面屈服の道を進もうとしている。屈従外交というほかありません。

 なぜこのような無原則な取引に走ろうとしているのか。

 その根本には、日本政府が、第2次世界大戦の戦後処理の不公正を正すという立場をもっていないという大問題があります。1945年のヤルタ協定で、米英ソ3国は「千島列島の引き渡し」を取り決めました。それに縛られて1951年のサンフランシスコ条約で、日本政府は千島列島を放棄してしまった。これは、領土不拡大という第2次世界大戦の戦後処理の大原則に反する不公正なものでした。これを、不動の前提としたら道は決して開かれません。戦後処理の不公正をただすという立場に立ってこそ、問題解決の道が開かれる。このことを強調したいと思います。

 対アメリカは従属外交、対ロシアは屈従外交。こんな政権に、これ以上、日本の外交をまかせるわけには断じていきません。国会論戦で、その問題点を追及するとともに、わが党が示す解決策を太く明らかにしてたたかいたいと思います。

連続選挙での勝利・躍進に道開く論戦を

 この国会は、会期半ばに統一地方選挙がたたかわれ、閉会後、参議院選挙がたたかわれます。日本の命運をわける連続選挙での勝利・躍進に道を開く論戦とたたかいに取り組みたいと思います。

5野党・1会派の党首会談――参院選での共闘にむけ重要な一歩前進

 一つは市民と野党の共闘をさらに発展させることです。

 本日、5野党・1会派の党首会談が行われました。確認事項はみなさんにお配りしている通りでありますが、参議院選挙において、安倍政権打倒をめざし、32の1人区の全てで候補者一本化のための調整をはかる、幹事長・書記局長において早急に協議・具体化を進めるという内容が確認されました。この協議のさいには、市民連合と野党各党が合意した内容を踏まえて政策協議も行うということを口頭で確認しています。

 これはたいへんに重要な一歩前進であります。ぜひ本気の共闘の態勢をつくるために、この重要な一歩を実らせるために、頑張りたいと決意しております。

 参議院選挙での共闘を成功させるうえでも、国会での野党共闘のいっそうの発展に取り組みたい、それと並行して、選挙にむけた協議の具体化を速やかに開始したい、このように考えております。

日本共産党ならではの論戦を――私たちの展望、希望を大いに語ろう

 同時に、訴えたいのは、日本共産党ならではの論戦と活動に取り組もうということであります。

 先日の全国都道府県・地区委員長会議での討論で、ある地区委員長の同志が、「安倍政権に対する怒りはたいへんに強い。批判は大切です。ただ、批判だけではなかなか支持が広がらない。共産党としての展望を語ることが大切です」という趣旨の発言をしました。私は、この発言をうけて、会議の「まとめ」の発言で、「ここは大切な点です。安倍政治に対する批判とともに、私たちの改革の展望を語り、希望を語ろう」と強調し、この点をみんなで確認したわけですが、国会活動でも心掛けたいことです。

 日本共産党は綱領で、「異常なアメリカ言いなり」「財界・大企業中心」という二つのゆがみをただす、国政の民主的改革の方針を全面的に明らかにしている政党です。そういう党として、安倍政治への対決を貫くとともに、日本をこう変えるという展望、希望を大いに語り、党躍進の太い流れをこの国会から起こしていこうではありませんか。(拍手)

 以上で、私のあいさつといたします。元気で頑張りましょう。(「よし」の声、拍手)


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