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2019年1月23日(水)

主張

安倍経済政策6年

暮らし悪化に口つぐむ“自賛”

 内閣府が先週末の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に、「安倍政権6年間の経済財政政策の成果と課題」という報告を提出しました。「景気回復」が「戦後最長」になったとか、企業収益が「過去最高水準」になったとか、いいことずくめの内容です。国民の所得と消費が落ち込んでいることなどには口をつぐむ、“自画自賛”です。大問題になっている雇用統計偽装には、一言も触れません。大企業や大資産家を潤しただけで国民の暮らしを悪化させ、貧困と格差を拡大した安倍政権の経済政策「アベノミクス」の破綻はごまかせません。

経済統計の偽装に触れず

 内閣府の報告は、首相が昨年末、「アベノミクス」の「成果」をわかりやすくまとめるよう指示したのを受けたものです。

 「景気回復」が「戦後最長」で、国内総生産(GDP)が「過去最大規模」といいますが、その根拠になる経済統計自体が、毎月勤労統計調査の偽装などの不正で信頼性を失っているもとでは、全く説得力がありません。安倍政権になってから、統計手法の不自然な変更があると指摘されており、「アベノミクス」の「成果」を強調できるよう、データを操作した疑いが浮上しています。

 GDPが「過去最大規模」といっても、発表された数字でも実質経済成長率はこの6年間、平均しても年間1%そこそこと、主要国では最も低い水準です。消費者物価は「アベノミクスにより2013年前半に反転し、デフレ状況ではなくなる」といいますが、「目標」にしていた2%には届かず(18年平均でも0・9%)、人為的な物価上昇が国民を苦しめていることにも目を向けません。

 「アベノミクス」の結果ではっきりしているのは、企業収益が「過去最高水準」になり、大企業だけが潤っていることです。報告でも、12年度以降で企業収益が「全体で35兆円拡大」したと自慢しています。しかしそのほとんどがため込みに回り、労働者の賃上げにも、雇用の拡大にも、十分結びついていないことには、だんまりです。

 信頼性が揺らいでいる政府統計でも家計の消費支出は、安倍政権発足前の12年に比べ17年までで4・3%も減少しています(労働総研調べ)。年収200万円以下の「ワーキングプア」は17年まで12年連続で1000万人を超えました。これで景気「回復」に実感を持てというのはどだい無理な話で、貧困と格差の拡大は明白です。

 報告は内閣府の調査を使って、「国民の生活満足度」が「改善」しているといいます。しかし、直近の日本銀行の「生活意識に関するアンケート」(昨年12月調査)で、景況が1年前に比べ「変わらない」が70・7%、1年後の景気が「悪くなる」39・8%を占めます。「改善」どころか悪くなった実感しかありません。

賃上げし増税中止を

 景気と国民の暮らしを良くするには、大企業がもうかれば回り回って所得や雇用も増えるという「トリクルダウン(滴り落ち)」の「アベノミクス」ではなく、国民の暮らしを応援し、所得と消費を拡大するしかありません。

 大企業のため込みを活用した賃金の引き上げと、国民をさらに苦しめる10月からの消費税増税の中止が、喫緊の課題です。


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