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2019年1月18日(金)

LGBT 少子化と無関係

自民・平沢氏 発言撤回せず

 自民党の平沢勝栄衆院議員がLGBT(性的少数者)について「この人たちばかりになったら国がつぶれてしまう」などと発言(3日)したことに対し、批判が広がっています。

 (日隈広志)


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 発言から2週間、同氏はいまだ謝罪も撤回もしていません。昨年7月に「LGBTは生産性がない」などとする一文を月刊誌に寄稿した杉田水脈衆院議員も謝罪、撤回しておらず、両氏に対し自民党本部は処分を下していません。両氏や安倍政権には、権力者を縛る立憲主義とは真逆な、国家の役に立つかどうかで国民をみる思想が深く根を張っています。

 「少子化」の問題に絡めた平沢発言に対し批判声明を発表した「LGBT法連合会」の神谷悠一事務局長は、世界的に「少子化」が政治の課題となった国では、「多様な性を認めない文脈、論調の中で、少子化問題をLGBTたたきに利用されてきた側面もある」と指摘。その一方で、多様な性に関して法整備した国が、その法整備によって少子化につながったとは聞かないと述べます。

 世界では2017年末までに同性婚を法制化した国がオランダ(01年世界初)、南アフリカ(06年)、フランス(13年)、米国(15年)など25カ国に拡大。これらの国の多くは出生率で日本を上回っています(グラフ参照)。法制化後の出生率の増減は国によって異なり、「少子化が改善した」とも「少子化になった」ともいえません。「同性婚」と「少子化」は無関係です。

 10日発表の電通のLGBTに関する意識調査(全国6万人対象)では「LGBTの人に不快な思いをさせないために、LGBTについて正しく理解をしたいと思うか」との問いに、「そう思う」「ややそう思う」との回答は76%に上りました。

 安倍政権が繰り返す差別発言は、「LGBTについて正しく理解したい」という多くの国民の願いをも踏みにじるものです。

安倍政権の失政が問題

市民団体「にじいろらいと」LGBT当事者 柳淳也さん(29)

 日本の出生率は人口を維持できる水準の2・08を1974年に割って以来、低水準です。近年、LGBT当事者が子どもを持つケースも増えています。例えば、子をもつ知り合いのレズビアンカップルは、シングルマザーとして育てざるを得ない状況で、何かあったときに法的に守られているとは到底いえません。少子化はLGBTを許容する環境になったから生じているのではなく、子どもを社会で産み育てる環境づくりを放置し、低賃金、長時間労働を広げた結果ではないですか。平沢勝栄衆院議員やLGBT差別を繰り返す安倍政権には失政を私たちに押し付けるなと言いたい。

 小中学校の教員や生徒を中心に話をする中で、自分の性自認や性的指向が確立しておらず、「これでいいのか」と悩む生徒に出会います。

 平沢氏の発言は、性自認や性的指向で悩む人のみならず、子どもを持てない人、子どもを持ちたいと望んでいない人を「悪いことだ」と自己否定に追い込むものです。国会議員の差別発言が社会にどんな悪影響を及ぼすか、想像すべきです。


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