2019年1月12日(土)
主張
2019年の経済
貧困と格差拡大解消する年に
新しい年の幕開けから、早くも10日たちました。貿易摩擦の激化などで、昨年末から各国の株価は激しく乱高下し、日本でも平均株価が何度か2万円を割り込みました。7年目に入った安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の下で国民の消費不況は続き、貧困と格差が拡大しています。「ワーキングプア」と呼ばれる年収200万円未満の労働者は、一昨年までで12年連続1000万人を超えました。今年10月の消費税増税の強行は無謀です。増税を阻止し、大企業や大資産家の異常なため込みをやめさせ、貧困と格差解消への転換の年にしていきましょう。
破綻した「アベノミクス」
安倍首相がいつまでたっても「道半ば」といい続ける、「アベノミクス」の破綻はすでに明らかです。大企業のもうけは記録的な水準に増え続け、資本金10億円以上の巨大企業がため込んだ内部留保は、昨年7~9月期で443・4兆円にまで膨らみました。大企業がもうかれば国民の所得が増えるというのが「アベノミクス」のシナリオでしたが、国民の所得は伸び悩み、消費税増税の影響もあって、消費の低迷がいまだに続いています。
総務省発表の家計調査報告(2人以上の世帯)では昨年11月も実質消費支出が3カ月連続前年同月比マイナスです。14年4月に消費税率を8%に引き上げた後、消費支出は年間25万円も落ち込んでいます。偽装が問題になっている厚生労働省の毎月勤労統計調査も実質賃金は昨年10月まで3カ月連続のマイナスと公表していました。
安倍政権は景気拡大が今月で「戦後最長」を記録するといいますが、国民には悪くなったという実感しかありません。首相は年頭所感で「景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始める」といいましたが、とんでもない話です。
日本銀行の「生活意識に関するアンケート」(昨年12月調査)では、景況が1年前と「変わらない」が70・7%で、1年後の景気が「悪くなる」が39・8%を占めます。
首相が昨年末の日本経済団体連合会(経団連)の審議員会で、「景気の回復基調を、より確かなものとできるような賃上げをぜひお願いしたい」と、改めてあいさつしたのも、「アベノミクス」の行き詰まりの表れです。
経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界3団体が年明けに開いた共同記者会見でも三村明夫日商会頭は「賃金が上がっても消費が増えないのは、人々が将来の自分の生活に対して極めて不安を抱いているということだ」と認め、小林喜光同友会代表幹事も「(20年の)オリンピックが終わったらやはりだいぶ元気なくなる危険性はある」と先行き不安を隠しません。
消費税増税直ちに中止を
安倍政権は10月からの消費税増税を前提に、「十二分の対策」と称して、複数税率の導入やキャッシュレス決済時でのポイント還元などを予算に組み込みました。制度を複雑にするだけで効果は期待できない全くのばらまきです。菅義偉官房長官でさえ、消費税増税を見送るかどうかは予算成立後をめどに判断すると言い出しました。
消費税増税を組み込んだ予算が成立した後に増税を中止する可能性があるなら、審議そのものが無駄になります。消費税増税の企ては直ちに中止すべきです。