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2019年1月10日(木)

知りたい聞きたい

気候変動観測衛星「しきさい」って?

温暖化・黄砂・赤潮の予測

 Q 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい」の観測データの一般提供が始まりましたが、しきさいのデータはどんな役に立つのですか。(埼玉県・男性)

 A 地球温暖化予測などの科学研究に加え、黄砂の飛来、赤潮の把握、漁場予測などに役立つといいます。観測データは、具体的には、世界各地の地表面温度や海面水温、火災で発生するエアロゾル(大気中を浮遊する微粒子)、植物プランクトンがもつ光合成色素の濃度、植生の量、雲の種類別の雲量、雪氷面温度など29種類です。インターネットで登録すれば誰でも無償で利用できます。

 しきさい(GCOM―C)は地球を周回しながら1000キロメートル超の幅を観測し、全地球を約2日間でカバーします。紫外線から赤外線にかけての19の波長帯を観測。250メートルという高い解像度を誇ります。2017年12月に打ち上げられた後、地上観測データとの比較で必要な精度の達成を確認し、翌18年12月20日からデータ提供を開始しました。

 写真(JAXA提供)は、しきさいが同月19日に観測した初冬の日本列島。水雲が白色、氷雲・積雪が水色、植生が緑色、裸地が茶色、水面が黒色で表されています。東日本の太平洋側や西日本は晴れていますが、日本海側には水雲や氷雲がかかっているのが分かります。

 気候モデルの研究者からは、温室効果をもつエアロゾルと冷却効果をもつエアロゾルの性質の解明につながると期待されています。気象庁は、しきさいデータを利用した、高精度な黄砂の早期予測の構想を検討中。水産ベンチャー企業は、ブリ養殖場での赤潮対策への活用を進めます。

 GCOMプロジェクト責任者の杢野(もくの)正明さんは、水環境変動観測衛星「しずく」(GCOM―W)の観測データと組み合わせた沿岸域の高精度な海面水温など、今後も提供データの種類を増やすことを検討したいといいます。(2019・1・10)


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