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2019年1月9日(水)

難民排斥 許さない

新法に市長らが反旗

イタリア

 【ベルリン=伊藤寿庸】イタリアで昨年12月下旬に施行された難民排斥の法律(通称「サルビーニ法」)に対して、各地の市長が年明けから反旗を翻しています。

 連立与党の極右政党「同盟」党首サルビーニ内相が提唱した同法は、「人道的理由」による難民の滞在許可を廃止。その結果、戦争や政治的迫害以外の理由による難民に、居住許可や身分証明書の発行ができなくなりました。これまで各地で、教育・医療を受け、働いて生活していた難民の人たちが、不法滞在状態に陥ります。

 ナポリやパレルモ、フィレンツェ、パルマをはじめ多くの自治体は、同法を「非人道的」「憲法違反」と批判。難民の人たちを違法状態に置けば、マフィアなどがあっせんする闇労働の餌食になるとして、滞在許可を発行し続けています。

 パレルモのオルランド市長は、同法が憲法にも欧州人権条約にも違反していると指摘。同市の対応は、同法に従わないのではなく「憲法上認められている権利をすべての人に適用しているだけだ」と述べています。

 サルビーニ内相は市長らの行動に対し、ツイッターで「不法移民を助けるものは、イタリアを憎んでいる」と述べ、法的手段に訴える方針を表明。オルランド市長は「法廷に立てば、法律が違憲だと主張できる」と受けて立つ構えです。

 同法は、母国で迫害を受けた同性愛者なども保護対象から排除。また、地方警察にスタンガンの使用を初めて認めたほか、イタリアの市民権を得た外国人がテロで有罪判決を受けた場合、市民権をはく奪することなどを定めています。

難民・移民の暴力事件受け 送還へ法改定ねらう

ドイツ

 【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツでは、年末に発生した難民・移民による暴力事件をきっかけに、難民の送還を容易にする法改正を求める主張が政府内で強まっています。一方、1日にはドイツ人が難民・移民に自動車で突っ込む事件が発生。「社会の右傾化の結果」と指摘されています。

 南部アンベルクで昨年12月29日、難民申請中のアフガニスタンやイラン国籍の若者4人が、酒に酔った勢いで通行人に殴り掛かり12人が負傷しました。

 事件を受け、ゼーホーファー内相(キリスト教民主社会同盟=CSU)は、犯罪を起こした難民申請者の本国送還を可能にするため法改定を行う意向を表明。しかしバーレイ法相(社会民主党)は、現行ルールの厳格な実施で十分だと法改正に反対しており、政府内で見解が分かれています。

 こうした事件をすぐに「送還」問題と結びつけることには、難民・移民の「統合」という政策と相いれないとの批判もあります。

 1日には、西部ボトロップとエッセンで、精神病歴のあるドイツ人の男が外国人を狙って自動車で突っ込み、8人に重軽傷を負わせました。容疑者には極右団体との組織的つながりはなく、「排外主義」にもとづく事件と扱われています。

 地元の左翼党で移民政策を担当するユーレス・エルカティブ氏は「ボトロップでの殺人未遂事件は、社会の右傾化の結果だ。攻撃の原因である、人種差別の強まりと絶えずたたかっていく必要がある」と語っています。


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