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2019年1月7日(月)

2019年 日本共産党はいかにたたかうか

NHK党首インタビュー 志位委員長の発言

 6日放送のNHK「日曜討論」各党党首インタビューでの日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。聞き手は、伊藤雅之解説委員、牛田茉友アナウンサーです。


 牛田 次は日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。

 志位 おはようございます。

安倍政権にどう対峙するか

沖縄、憲法のたたかいで大きな成果――共闘勝利、共産党躍進で安倍政権を退陣に 

 伊藤 共産党は先の臨時国会でも、政府・与党の国会運営のあり方を厳しく批判してきました。今年、安倍政権にどう対峙(たいじ)しますか。

 志位 私は、昨年1月の仕事始めで、「今年は絶対に負けられないたたかいが二つある」と訴えました。一つは沖縄県知事選挙、もう一つは憲法9条改定を許さないと(いうことです)。

 昨年を振り返って、この「二つのたたかい」で大きな成果をあげることができたと思っています。

 沖縄県知事選挙は、辺野古新基地建設反対を訴える「オール沖縄」の玉城デニーさんが圧勝した。憲法審査会を動かして改憲の発議をしようという首相の目論見(もくろみ)も止めることができました。これは、「共闘の力」が働いたと思うんですね。

 今年は、この成果の上に立って、統一地方選挙、参議院選挙で、市民と野党の共闘を勝利させ、そして日本共産党を躍進させて、安倍政権を退陣に追い込みたい。“安倍政治サヨナラ”の年にしたいと決意しております。

日本経済と消費税10%

日本経済は深刻な危機に直面――消費税10%を中止し、草の根から暮らし応援の経済に

 伊藤 日本の経済について聞きたいと思います。いまの経済の状況をどうみるのか、そして今年は消費税率の引き上げが控えていますけれども、いま必要な経済政策をどう考えますか。

 志位 私は、総理が年頭の所感で、「景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始めた」と言われたのには驚きました。多くの国民のみなさんの実感とまったくかけ離れたものだと思うんですね。

 5年前の消費税8%(への増税)を契機として、消費が落ち込みまして、1世帯当たり(年間)25万円も家計消費が落ち込んで、消費不況です。

 それから、昨年の7~9月期のGDP(国内総生産)はマイナス2・5%と、個人消費、設備投資、輸出と総崩れになった。

 そして株価の暴落です。

 ですから、いま日本経済が深刻な危機に直面しているというのは、これは明瞭で、そのときに、「景気回復」だと言っているのは、それ自体、経済のかじ取りの資格が疑われると思います。

 私たちは、こういう状況ですから、消費税10%というのは論外だと(いう立場です)。国民の暮らしを応援する、草の根から国民の暮らしを応援して経済をよくする。ここに切り替える必要があると思います。

憲法改定について

憲法ないがしろにしてきた首相に憲法を変える資格なし――圧倒的世論で9条改憲にピリオドを  

 牛田 憲法改正をめぐる議論について聞きます。安倍総理大臣は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」としていますが、どう対応しますか。

 志位 憲法改定についての考え方は、野党でそれぞれ(の立場が)あるんですけれど、「安倍政権のもとでの9条改定には反対だ」ということでは一致しているわけですよ。私は、これは当然だと思っております。

 安倍首相ほど、憲法をないがしろにしてきた総理大臣というのは戦後いないと思います。集団的自衛権の行使容認に道を開いた閣議決定をやる。安保法制=戦争法を強行する。そして秘密法、共謀罪、どれもこれも憲法違反の法律を強行してきた。私は、憲法をないがしろにしてきた総理大臣には憲法を変える資格はないと(思います)。この点で結束してたたかうことが大事だと思います。

 何よりも、草の根で、(9条改憲反対の)3000万人の署名運動が始まっていますけれども、ずいぶん広がりました。今年は、圧倒的な世論で、9条改憲にピリオドを打つ年にしたいと決意しています。

日ロ領土問題

「2島で決着」は絶対に認められない――戦後処理の不公正ただす交渉でこそ道が開ける

 伊藤 これからの外交についてうかがいたいと思うんですが、日本とロシアの関係で、平和条約や北方領土問題をめぐる政府の交渉をどう考えますか。

 志位 日ロ(領土)交渉に関係してきた元外務省高官が、「安倍首相の方針は歯舞、色丹の『2島先行返還』と見られているけれども、『2島先行』ではなくて『2島で決着』というのが首相の方針だ」と言っている。私は、これは当たっているんじゃないかと思うんですね。

 つまり、歯舞、色丹の返還で領土問題はおしまい、それ以上の国後、択捉などの領土要求は放棄する。これはとんでもないことで、私たちは、絶対にやってはならないことだと、思います。

 この問題について、「70年間やってきて、動いていないじゃないか」と総理は言うんだけれども、日本政府はこの問題で、ただの一度も国際的道理に立った交渉をやったことがないんです。

 この問題の根本というのは、1945年のヤルタ協定で、当時のソ連のスターリンが“千島列島をよこせ”と言って(米英ソで)取り決める。それに拘束されて51年のサンフランシスコ平和条約で、日本政府が千島列島の放棄をしてしまう。第2次世界大戦の戦後処理の大原則というのは「領土不拡大」――戦勝国も領土を広げてはいけませんよ、というのが大原則だったのに、それに反する不公正な取り決めをやった。

 この不公正をただして、全千島列島が日本の領土だということを正面から訴える交渉をやってこそ、道が開けるということを、私は、強く言いたいと思います。

沖縄・米軍新基地問題

民意踏まえ辺野古新基地は断念を――無法な土地強奪でつくった普天間基地は無条件返還を    

 伊藤 アメリカ軍の普天間基地の「移設」をめぐる問題ですが、政府と沖縄県の対立が続いています。政府はどういう対応でこの問題に臨むべきだというふうに考えますか。

 志位 あれだけはっきりとした(辺野古新基地建設反対の)県民の民意が示されている。そういうもとで、私は、辺野古新基地(建設)は中止するというところに踏み切らなければ絶対に解決しない、ということを強く言いたいと思います。

 今日、総理は、普天間(基地)のことを言われました。しかし、普天間(基地)というのは、もともと住民のみなさんが住んでいた場所なんですよ。住宅もあった、役場もあった、にぎわいがあった街を、沖縄を占領したときに米軍が全部つぶして勝手に強奪した。国際法違反で強奪した土地なのです。

 ですから、これは、「代替施設がなかったら返さない」というのではなくて、無条件で返還を求める。そして辺野古の基地は、これだけ県民の民意がはっきりしているわけですから、これはきっぱり断念する。これがいま政府に求められている。そこに踏み込むべきだと思います。

通常国会にどうのぞむ

大増税・大軍拡の“亡国の予算”――徹底追及、組み替え案を提起してたたかう

 伊藤 今月召集される通常国会、何を重要課題として臨みますか。

 志位 最大の争点は、まさに政府の予算案そのものだと思います。

 今度の19年度予算案というのは、一方で、消費税10%で経済と暮らしを壊す。もう一方で、大軍拡で憲法と平和を壊す。二重の意味で“亡国の予算”だと私は言いたいと思うんですね。

 この問題点を徹底的に糾明する。そして野党共同で組み替え案をぜひ出してたたかいたいと思います。

統一地方選、衆院補選

躍進した地歩を守り、さらに広げる――「オール沖縄」候補の勝利を必ず勝ち取る          

 伊藤 そして選挙の年ということで、4月には統一地方選挙、衆議院の補選が控えていますが、まずこれにどう臨みますか。

 志位 統一地方選挙では、全体として多くの自治体で福祉を削る、巨大開発を進めるという、いわば「逆立ち」した政治が続いています。そういうもとで、前回かなり躍進した道府県議選では、111(議席)まで躍進したんですが、この地歩を守って、さらに広げるたたかいをやっていきたいと思います。

 それから、補選は、4月の(衆院)沖縄3区のことだと思うんですが、これは辺野古新基地反対の「オール沖縄」の候補者の勝利を必ず勝ち取りたいと思っています。

参院選と野党共闘

野党にとってチャンスの選挙――1人区での共闘の具体化のための協議を速やかに開始しよう   

 伊藤 そして7月の参議院選挙に向けてですが、志位さんは定員が1人の1人区での野党の候補者の一本化、共通の公約などを進めていくべきだという考えを示していますが、野党連携をどう進めていきますか。

 志位 今年の参議院選挙は野党にとってチャンスの選挙だと(思います)。

 (全国)32の1人区のうち、今度改選になる人で、31人の自民党現職議員がいるんですよ。ということは、野党が「本気の共闘」をやる、沖縄のような共闘をやれば、大変動がつくれるチャンスの選挙だと思うんですね。このチャンスを逃したら、野党は何をやっているんだというふうに言われると思います。

 この問題は、昨年11月の(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める)市民連合のシンポジウムで、野党各党の書記局長・幹事長がそろいましたけれども、「32の1人区の一本化」を確認した。その確認の上に立って、野党各党が(協議の)テーブルに着いて、安倍政権の打倒と「1人区の一本化」で合意をする、そしてその具体化のための協議を速やかに始める。このことを強く呼びかけたいと思います。

同日選について

野党が「本気の共闘」の流れをつくればできない、仮にやるなら衆参ともに少数に追い込む

 伊藤 そして、参議院選挙と衆議院選挙の同日選挙の可能性もあるのではないかとの見方がありますが、志位さんはどうごらんになりますか。

 志位 これはね、野党が「本気の共闘」の流れをつくったら、同日選挙はできないですよ。ですから、やはり野党がそういう流れをつくって、そういうでたらめなやり方は許さないと(いうことが大切です)。

 もし、それでもやってくるんだったら、衆議院選挙でも野党共闘で(たたかい)、それこそ衆参ともに自民党と公明党、その補完勢力を少数に追い込む。その決意でたたかいます。

 伊藤、牛田 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。


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