2019年1月4日(金)
星の赤ちゃん包む“ドーナツ”
内と外で傾きにずれ
|
南米チリにある巨大電波望遠鏡「アルマ」を使った観測で、星の赤ちゃんを包むガスとちりでできたドーナツ状の円盤が内側と外側に分かれ、それぞれの回転軸の傾きがずれているのを発見したと、理化学研究所や千葉大学などの研究グループが31日付の科学誌『ネイチャー』電子版に発表しました。
星が成長するにつれて円盤(原始惑星系円盤)の中では惑星が形成されます。このため、今回の発見は惑星軌道の回転軸の傾きにばらつきのある惑星系の起源などの解明につながると期待されます。
研究グループはおうし座の方向、地球から450光年離れたところにある太陽型の原始星(星の赤ちゃん)「IRAS04368+2557」を観測しました。これまでの観測で、この原始星の周りには円盤があることがわかっています。円盤は形成途上で、周囲からガスやちりが次々と集まっています。
今回の観測の結果、円盤は原始星から40~60天文単位(1天文単位は太陽と地球の距離で約1億5000万キロ)の位置で急に変化していることがわかりました。この位置を境に、円盤は内側と外側に分かれ、それぞれの回転軸の傾きがずれていることが示されたといいます。
このような構造は「ワープ構造」と呼ばれ、これまで伴星を持つ進化の進んだ原始惑星系円盤では知られ、近年、次々と発見されている惑星軌道の回転軸の傾きにばらつきのある惑星系などの起源として注目されていました。今回のように、伴星を持たない初期の原始惑星系円盤で「ワープ構造」が見つかったのは初めてです。
研究グループは、円盤へと集まってくるガスやちりの回転軸が時間とともに変化しているからだと考えています。