2018年12月31日(月)
2018年 「気候崩壊の年」
10億ドル以上の損害10件
英NGOが報告書を発表
【ベルリン=伊藤寿庸】英国の慈善団体クリスチャン・エイドは27日、気候変動がもたらした2018年の大規模な被害を振り返る報告書を発表、今年を「気候崩壊の年」だったとし、被害額が10億ドル(約1110億円)を超えた10件の事象を発表しました。
10件の総額だけで、848億ドル(約9兆4000億円)の経済損失となります。報告書を執筆した一人、米ペンシルベニア州立大学のマイケル・マン教授は「気候変動の破壊的傾向を食い止めるのは温室効果ガスの早期削減しかない」と警告しています。
被害額が最大だったのは米国と中米・カリブ海を襲ったハリケーン「フローレンス」と「マイケル」でそれぞれ170億ドル、150億ドル。大豆やトウモロコシを直撃したアルゼンチンの干ばつは60億ドルの損害でした。
またインド南部のケララ州では、過去80年で最悪の洪水によって死者約500人、百万人が家を失いました。日本については、洪水による死者230人と70億ドルの損害のほか、熱波と台風21号の被害をあげています。台風22号は、フィリピンと中国で死者133人を出しました。このほか、南アフリカの干ばつ、米カリフォルニア州の山火事などをあげています。
クリスチャン・エイドは、被害額について、途上国の人的被害は算定できる金銭的損害をはるかに上回っていると断っています。
クリスチャン・エイドの世界気候問題責任者のキャット・クレーマー博士は、「気候変動は今現在、人々の生活に壊滅的結果をもたらしている。最初に最大の被害を受けるのが、気候危機に最も貢献していない貧困層だ」とし、「ゼロ・カーボン経済」への移行を速やかに進めることを訴えました。