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2018年12月29日(土)

主張

「森友・加計」問題

疑惑に口拭って越年するのか

 大阪の国有地が格安で払い下げられ、国会の虚偽答弁や公文書の改ざんが明らかになった「森友学園」問題や、獣医学部の開設をめぐり安倍晋三首相が関わって政治がゆがめられた疑いの「加計学園」問題は、国会での証人喚問などを拒否する安倍政権によって、解明が尽くされないまま越年します。国民の共有財産に関わり、行政の公平性を破壊した暴挙は、絶対に曖昧にできません。年明けの国会でも証人喚問を実現し、徹底究明すべきです。

国民の怒りは収まらず

 内閣支持率が軒並み低下した今月の世論調査でも、「森友」問題や「加計」問題での安倍政権の説明に「納得していない」という回答が72%を占めます(「毎日」17日付)。時事通信の世論調査では、閣僚としてふさわしくない人物として、「口利き」疑惑や政治資金収支報告書の虚偽記載などが相次いだ片山さつき地方創生相に続いて、「森友」問題で監督責任を問われた麻生太郎副総理・財務相が2番手に挙げられています(14日配信)。国民は「森友」や「加計」問題に納得せず、怒っています。

 「森友」問題は大阪府豊中市の国有地に小学校の建設を予定した学校法人「森友学園」のために、最初は異例な貸し付けで、その後は鑑定価格から9割も割り引いた破格な安値で払い下げられたというものです。小学校の名誉校長に就任した首相の妻・昭恵氏が2014年4月に当時の学園理事長と現地を視察したときの写真を財務省が見たとたん、一気に話が進んだと理事長が語っています。最近も財務省近畿財務局の勤務経験者が「朝日」(19日付)の座談会で同様の証言をしています。

 「ゴミが出た」ことを口実にした大幅な値引きも、昭恵氏が棟上げ式に来ると財務省に伝えられたことがきっかけになった疑いが濃厚です。財務省は学園との交渉記録はないなどと虚偽答弁で隠ぺいし、公文書の廃棄・改ざんまでしていました。それも「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と17年2月に国会答弁した首相の発言とつじつまを合わせるためだったとみられています。

 一連の公文書の隠ぺいや改ざんを受け会計検査院は11月、追加検査の結果を発表しましたが、核心に迫らず、全体像の解明にはほど遠いものです。国政調査権を持つ国会での解明が不可欠です。

 首相の「腹心の友」が理事長を務める岡山の学校法人「加計学園」が、首相肝いりの「国家戦略特区」の愛媛県今治市に開設した獣医学部をめぐる「加計」問題も疑惑が払しょくされていません。「総理のご意向」などと記した文部科学省の文書が作られていたこの問題でも首相は17年3月、「私が働きかけて決めているのであれば責任を取る」と関与を否定していました。その後、愛媛県の作成文書で、15年2月に理事長が首相と会見し、首相が「そういう考えはいいね」と発言した後、計画が進んだと書かれていました。首相も理事長も面会の事実さえ認めませんが、徹底究明が欠かせません。

疑惑解明し首相は退陣を

 自らに関わる疑惑を全面解明しなくて国民に責任を負う政治ができるはずはありません。首相は昭恵氏や加計学園理事長の証人喚問に応じ、疑惑を明らかにしたうえで責任を取って退陣すべきです。


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