2018年12月26日(水)
学童職員1人も可能
閣議決定、保護者ら撤回迫る
安倍政権は25日の閣議で、地方分権改革の対応方針を決定しました。共働き家庭などの小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)の職員にかかわる基準を自治体の判断で引き下げられるようにすることが柱。保護者や関係者から撤回を求める声があがっています。
厚生労働省は2015年、学童保育について1教室に原則2人以上の職員を配置し、そのうち1人は都道府県の講習を受けた放課後児童支援員とすることを「従うべき基準」として定めました。
安倍政権は、人材確保が困難との地方団体の要望を口実に、施行からわずか3年で職員基準を市区町村の判断で引き下げ可能な「参酌基準」にすることを決定。来年の通常国会に参酌化のための児童福祉法改悪案を提出する予定です。
参酌化されれば無資格の職員1人体制でも運営が可能になります。「全国学童保育連絡協議会」は、参酌化すれば市町村格差が拡大し、安全と質の低下も避けられないとして「従うべき基準」の堅持を強く求める声明を出しています。
国の負担抑制の狙いも
「子育て、介護。現役世代が直面するこの二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入する」
昨秋、安倍晋三首相は衆院解散の第一の理由に少子化をあげ、消費税率10%への増税を財源に「子育て世代への投資を拡充する」と表明しました。
しかし、その後、安倍政権が進めてきたのは、保育所や学童保育といった、子育てにかかわる基準を自治体の判断で引き下げるための仕組みづくりばかり。子どもの命や安全を守るために必要な基準を緩和してでも、量が確保できれば構わないという発想です。
同時に、利用者の増加で膨らむ国の負担を抑制する狙いもあります。これでは子育て世代の不安は増すばかりです。
女性の就労拡大などで学童保育の利用者は20年前の約35万人から今年5月には約121万人に急増。安倍政権は人手不足を安価な女性の労働力で補うためさらなる女性の就労拡大を掲げており、保育所や学童保育の利用者は今後も大幅な増加が見込まれます。
今回の議論の舞台となった内閣府の有識者会議では、学童保育の基準緩和を他の基準見直しの「突破口」にするとの発言も出ています。
日本共産党はじめ6野党・会派は、基準緩和の中止を一致して政府に求めており、通常国会に向け、子どもの安全・安心を願う一致点での幅広い共闘が重要になっています。(佐久間亮)