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2018年12月24日(月)

主張

消費税導入30年

増税の「口実」はなくなった

 安倍晋三政権が来年10月からの消費税率の10%への引き上げに執念を燃やす中、24日は消費税導入法の成立が当時の竹下登政権の下で強行されて、ちょうど30年です。翌1989年4月1日から税率3%で施行された消費税は、その後5%、8%と段階的に増税され、国民を苦しめてきました。直接税と間接税の「比率是正」などの名目で大企業や大資産家の負担は軽減される一方、年金も医療も介護も改悪に次ぐ改悪で、社会保障財源を賄うという消費税導入・増税の口実も破綻しています。前回の増税による不況は続いており、新たな増税はやめるべきです。

低所得者ほど負担が重い

 最近、消費税導入当時、衆院事務局で国会対策などに携わり、その後参院議員を務めた平野貞夫氏が日本記者クラブで話したのをインターネットで聞きました。

 大平正芳政権が79年の総選挙で大敗し「一般消費税」の導入を断念した後、中曽根康弘政権が87年に「売上税」法案を提出したもののこれも廃案、竹下政権で消費税を導入するまで10年がかりだった舞台裏を生々しく証言しました。同時に平野氏は、秘書として仕えた前尾繁三郎元衆院議長から「簡素・公平・公正」が税の基本と教えられたことを引いて、「軽減税率」の導入やポイント還元などを伴う来年の増税について、「これでは格差が広がるばかり。全部反対だ」と断言しました。

 1960年代から自民党政権が「付加価値税」などの名前で画策してきた大型間接税が、「広く、薄く」国民に負担してもらうなどとして持ち出されたのが、大平政権の「一般消費税」でした。原則としてあらゆる商品やサービスに課税し、低所得者ほど負担が重い大型間接税が、消費者や中小商工業者の反発を受けたのは当然です。中曽根政権も竹下政権も、「行政改革」や「政治改革」を看板に掲げつつ、国会での強行を繰り返し、ようやく成立させたのです。

 導入時から2018年度までの消費税収は累計372兆円に上りますが、大企業や大資産家への減税で、法人税の減収分だけで291兆円、約8割が消えた勘定です。

 5%、8%への増税の際、当時の政権は社会保障の経費に充てるとか「社会保障と税の一体改革」を約束して、国民の反対を弱めようとしました。その建前が成り立たないことは、相次ぐ社会保障改悪の事実が証明しています。

 安倍政権が12年末の政権復帰から間もない14年4月から強行した消費税の8%への引き上げは消費を冷やし、いまだに不況を抜け出せていません。直近7~9月期の国内総生産(GDP)も、前期比2・5%減(年率換算)の大幅な落ち込みになりました。こうしたなかでの消費税増税など、まったくの論外です。

「10%中止」一点で声広げ

 日本より一足早く「付加価値税」を1977年に導入した韓国では、税率を41年間引き上げたことがありません。韓国を調査した湖東京至税理士によれば、大企業の法人税引き上げで財源を確保しているといいます。

 日本でも大企業や大資産家に適切な負担を求めれば、消費税は増税しなくても財源は出てきます。消費税導入から30年を機に、10%への増税中止の一点で、世論と運動を広げようではありませんか。


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