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2018年12月21日(金)

21世紀、世界と東アジアの平和の展望

志位委員長がベトナム外交学院で講演

 日本共産党の志位和夫委員長は19日、ハノイのベトナム外交学院で「21世紀、世界と東アジアの平和の展望」と題して講演しました。同学院は外交官や対外分野などでの活動を担う人々などを養成する大学・研究機関。200人以上が熱心に集中して聞き入り、講演後は活発な質疑応答が続きました。

 (ハノイ=井上歩、写真・面川誠)


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(写真)外交学院の学生らを前に講演する志位委員長=19日、ハノイ

 講演に先立ち、レ・ハイ・ビン外交学院副院長があいさつし、日本共産党と志位委員長を紹介。「この機会に若い人も、国際情勢、両党関係や日本共産党について知ってもらう機会にしたい」と講演への期待を語りました。

日本共産党の綱領の世界論

 志位氏は、日本共産党の綱領で明らかにした世界論が「20世紀に進行した人類史の巨大な変化の分析に立って、21世紀の世界の発展的な展望をとらえる」ことにあると紹介。「21世紀の世界を全体としてどう捉えるか、東アジアにどうやって平和を築いていくか」を話したいと講演に入りました。

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(写真)志位委員長に質問する外交学院の学生=19日、ハノイ

 20世紀の最大の変化は植民地体制が完全に崩壊し、民族自決権が世界公認の原理になったことだと指摘。ベトナムを独立に導いた8月革命(1945年)とともに「フランスとアメリカという二つの帝国主義に打ち勝ったベトナム人民のたたかいが、世界の平和と進歩の促進に果たした役割は、文字通り世界史的意義を持つもの」であること、「日本の平和・進歩勢力は、ベトナムの自由と独立をたたかいとったベトナム人民の英雄的なたたかいにいまも強い信頼と尊敬をもっている」と述べました。

 21世紀の世界は、20世紀に進行した「世界の構造変化」が生きた力を発揮しだしているのが特徴だとして、それが最も鮮やかに表れているのが「核兵器のない世界」を目指す動きだと語りました。昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約に向けた国連会議に志位氏自身が参加した実感として、「国際政治における『主役』が、一部の国から多数の国々の政府と市民社会に交代した」と指摘。「日本とベトナムの両国民、両共産党が『核兵器のない世界』を目指して、さらに協力関係を発展させる」ことを呼び掛けました。

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(写真)志位委員長の講演を聞く外交学院の学生ら=19日、ハノイ

北東アジアと「平和の激動」

 北東アジア情勢に話を進めた志位氏は、朝鮮半島での「平和の激動」に言及。「平和の激動をつくりだした根本に働いている力」は「平和を願う各国民衆の力」であることを、志位氏自身の先週末の訪韓の実感をまじえて強調。世界多数の国々が「対話による平和的解決」を求めていることを挙げ、「朝鮮半島における平和の激動の根本にも、『世界の構造変化』が横たわっている」と語りました。

 日本共産党が「北東アジア平和協力構想」を提唱していると紹介し、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、あらゆる紛争を平和的に解決するルールを確立していることに学んで、北東アジアにも平和の地域協力の枠組みをつくる構想だと説明しました。

 さらに志位氏は、ASEANについて、「世界で最も成功している平和の地域協力の枠組みだ」と述べるとともに、「南シナ海問題など困難な課題が存在し、大国が関与を増大させ加盟10カ国に分断をもたらす動きもある」ことに言及。ASEANが困難をのりこえ、「自主独立」と「団結・統一」を堅持し、さらに発展すること、発展をかちとるうえでベトナムがさらに大きな役割を果たすことを願ってやまないと語りました。

 志位氏は、最後に、「『核兵器のない世界』、戦争のない東アジアの実現に向けて、日越両国国民、日本共産党とベトナム共産党との平和の連帯がさらに発展することを心から願う」と述べ、講演を締めくくりました。

連帯の歌声が会場に響いて

 講演の冒頭に志位氏は、ベトナムが1945年に日本からの独立を宣言したときの愛唱歌で、日本でも米国によるベトナム侵略戦争反対に連帯する運動で歌われた「自由ベトナム行進曲」を披露。講演後に外交学院のレ・ハイ・ビン副院長は、「志位委員長の歌への答礼として、私たちも『自由ベトナム行進曲』を歌おう」と学生に呼びかけ、会場には学生の歌声が響きました。

 質疑応答では学生からは「日本における社会主義革命をどう展望しているか」「日本の労働者階級の生活改善のための政策は何か」「日本の軍事力増強や米国との軍事同盟についてどう考えるか」「日本に住むベトナム人労働者について、日本共産党はどのような政策をもっているのか」と次々と質問が出され、志位氏はひとつひとつ丁寧に答えました。

 最後に、ビン副院長から「学生へのアドバイスを一言お願いします」と求められた志位氏は、「若いみなさんが、ぜひ古典を学んでほしいと思います。とくに私たちの事業の礎石をすえたマルクス、エンゲルスの古典を読んでほしい。いまマルクスの理論の生命力への新たな国際的関心の広がりがあります。古典の学習は、みなさんがどんな分野での働き手になったとしても人生にとっての大きな指針となると思います」と語りました。

 参加した学生からは、「これまで聞いたことのない東アジアの平和維持における日本共産党の大きな役割に驚いた」「朝鮮半島の非核化の問題や、南シナ海問題といった現在の焦点の問題と、国際情勢一般での日本共産党の見解と役割について、理解を深める講演だった」「日本で労働者の保護のために、日本共産党ぐらいの役割を果たせる党はないと感じた」「今後の学業に役立つ話を聞けた」などの感想が出されました。


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