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2018年12月11日(火)

主張

臨時国会閉幕

強権で隠せぬ安倍政治の破綻

 安倍晋三首相が自民党総裁に3選され、内閣改造と党役員人事を行って初の臨時国会が閉幕しました。安倍政権はルール破り連続の強権的手法で、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法の改定や、漁業法と水道法の改悪、日欧経済連携協定(EPA)などの成立・承認を強行しました。一方で、首相が実現に執念を燃やした自民党改憲案の提示はできませんでした。国会内外では安倍政治に反対する野党と市民の共闘が大きく前進しました。どんなに強権政治に乗り出しても、安倍政治の破綻は隠しようがありません。

国民との矛盾あらわに

 安倍政権が技能実習生や留学生として来日した外国人労働者の実態を隠し、受け入れ拡大の改定入管法を強行したのは強権政治の最たるものです。安倍政権は失踪実習生の聴取票さえ国会に提出せず、閲覧を認めただけでした。野党議員がそれを書き写して独自集計し、首相らに過酷労働の事実を突き付けても、居直るばかりです。

 改定入管法は、外国人労働者の受け入れ業種などを省令等に委ねた“空っぽ”の法律です。政権側も「議論したらきりがない」とか「ややこしい」と認めた法案を、衆院でも参院でもわずかな審議時間で押し通したのは重大です。大島理森衆院議長でさえ苦言を呈し、首相も同法施行前に、改めて国会に全容を報告すると口にせざるを得ませんでした。

 浜の漁業を企業に明け渡す漁業法改悪や、水道事業を企業のもうけの対象にする水道法の改悪、酪農家などを危機に追い込む日欧EPAの承認なども、強行に次ぐ強行の連続でした。国民に重大な中身が説明できないという、破綻が招いた暴走です。

 文字通り国民と国会を愚ろうするものです。こうした政治がいつまでも許されるはずはありません。国民からの批判と反発が強まるのは必至です。

 安倍政権の力ずくの政治と国民との矛盾があらわになったのは、首相が固執した、自衛隊を明記するなどの改憲案の国会提示が実現しなかったことです。首相は総裁3選にあたっても、改憲案を国会に示し、改憲発議を急ぐと繰り返しました。そのために側近の下村博文元文部科学相を改憲推進本部長に据えるなど異常な「改憲シフト」を敷きました。

 首相は国会冒頭の所信表明演説で改憲論議は「国会議員の責任」とまで言って、憲法尊重擁護義務も三権分立の原則も投げ捨てて改憲に拍車をかけようとしました。結果は逆に、野党と国民の怒りを買っただけで行き詰まりました。強権政治の明白な破綻です。さらに国民の声と力を強め、改憲を断念させることが必要です。

来年の選挙で審判下そう

 沖縄の民意を無視した強権的な米軍新基地建設も見通しがありません。今年7~9月期の国民総生産(GDP)の改定値が年率2・5%減に悪化するなど、経済の不振は深刻さを増します。大企業本位の「アベノミクス」の弊害は明白です。改憲や軍拡に熱中し消費税増税などを強行する安倍政権を続けさせることはできません。

 政治をゆがめた「森友」「加計」問題も解明されていません。来年の統一地方選と参院選で厳しい審判を下し、安倍政権を退陣に追い込むことが重要です。


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