2018年12月6日(木)
COP24inポーランド
“生産大国”で脱石炭の動き
再エネ支持9割 地元住民ら行動 ポーランド
【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】“石炭大国”として知られるポーランドで、石炭産業に反対する動きが始まっています。カトウィツェで開催中のCOP24(国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議)で3日、同国イミェリンの住民らが、地元で進む石炭採掘計画に反対を訴えました。
32歳の頃から50歳となる今までイミェリンに住んできたというイレク・ゴルニクさんは、「緑の町を守りたい。これは私たちの住まいの問題、くらしの問題だ」と強調します。
イミェリンはカトウィツェから約20キロの、人口約9000人の自治体。問題の計画は、欧州で最大の石炭採掘企業PGGが所有するジェモウィ炭鉱を拡張するものです。
新たな採掘は、町の地下わずか約180メートルを掘り進める予定で、町当局は少なくとも6メートルの地盤沈下があると試算。湖の消失など、水系への影響も危ぶまれています。
地元で教師を務めるアリーシャ・ズドゼクヴィチさんは「町の住宅は、採掘による揺れや地盤陥没に耐えられない」と訴えます。
国はPGGに環境許認可を与えましたが、町は国や企業に、中止を求める請願を提出。1000人超の住民が署名しました。今年5月には、住民らがカトウィツェで抗議デモを行いました。
環境団体「ポーリッシュ・エコロジカル・クラブ」のウルスラ・ステファノヴィチさんは、石炭産業に頼ってきた同国でも「気候変動対策への支持は高まっている」と強調します。「世論調査では再生可能エネルギー開発への支持は9割以上だ」
欧州では脱・石炭の流れが加速しており、ポーランドと並ぶ石炭生産国ドイツが今年6月、脱・石炭をめざす委員会を立ち上げるなどの動きが起きています。