2018年11月30日(金)
日欧EPA承認案などへの宮本徹議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の宮本徹議員が29日の衆院本会議で行った、日欧の経済連携協定(EPA)承認案と戦略的パートナーシップ協定(SPA)承認案への反対討論は次の通りです。
「日欧経済連携協定(EPA)」及び「日欧戦略的パートナーシップ協定(SPA)」の両協定は、農林業をはじめ国民生活となりわいに深刻な影響を与えるにもかかわらず、委員会では参考人質疑なし、わずか1回の4時間あまりの審議で採決が強行されました。TPP(環太平洋連携協定)の審議の1割以下です。入管法改定案強行に続き、あまりにひどい国会運営です。国会は政府の追認機関ではありません。国権の最高機関を形骸化する与党は猛省すべきです。
日欧EPAは、乳製品など農林水産分野で、史上最悪の農業破壊協定であるTPPの水準を上回る譲歩をした亡国の協定にほかなりません。TPPでハード系チーズの関税が撤廃されたうえ、日欧EPAでソフト系チーズまで関税が撤廃されます。EU(欧州連合)から多く輸入している豚肉の関税が削減されます。本協定でEUから安い輸入品が大量に流入すれば、国産品の値崩れなどを招き、懸命に努力を続けている全国の酪農・畜産は大打撃を受けます。
政府は、国内対策で「農家の所得は確保され、生産量も維持される」といいます。しかし、その内容は、生産コスト削減や大規模化を画一的に迫るもので、小規模・家族農業の切り捨てです。
さらに、本協定は市場開放の連鎖をもたらします。日豪EPAは、日本が他国の協定で特恵的な市場アクセスを認めた際は、豪州にも同等の待遇を与える見直し規定があります。本協定により、豪州から、さらなる市場開放を迫られかねません。アメリカのパーデュー農務長官も「日本がEUに与えたものと同等か、それ以上の市場開放を期待する」と述べています。本協定が、譲歩の連鎖を引き起こすことは明らかです。際限のない市場開放を進め、国民の生存基盤である農業を破壊する本協定は容認できません。
日欧SPAは、テロ対策や宇宙空間など40分野で協力するとしながら、具体的内容は「今後の検討」に委ねられています。この10年、日本とEUは、ソマリア沖の海賊対処活動での自衛隊と欧州各国軍との連携など、安全保障分野で関係を深めてきました。政府の「国家安全保障戦略」は、EUとの関係を、NATO(北大西洋条約機構)とともに「さらに強化」する方針を打ち出しており、日欧SPAはEUとの軍事関連分野での協力を進める法的枠組みの一つです。認めるわけにいきません。