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2018年11月30日(金)

主張

COP24の課題

「脱炭素」加速の議論促進せよ

 地球温暖化対策の「パリ協定」の実施ルールを決めるため、国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が12月2~14日、ポーランドのカトウィツェで開かれます。日本では今夏、大規模な豪雨、記録的な猛暑などが相次ぎ、世界各地でも高温や干ばつなどに襲われました。異常気象は、地球温暖化との関連が指摘されており、その対策に向け世界が知恵と力をつくすことは急務です。温室効果ガスの排出削減へCOP24を実効性あるルールを決める場にしていくことが重要です。

ルール策定と目標上積み

 2015年に採択されたパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ2度を十分下回る水準に抑え、1・5度未満に向けて努力する目標を明記しました。さらに▽今世紀後半に温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にする▽各国が20年までに削減目標を再提出し5年ごとに見直す▽悪影響への適応策をとる▽途上国への支援―などを決めました。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は10月、世界平均気温の上昇は深刻になっており、2度ではなく、1・5度未満に抑えることの重要性を強調しました。

 しかし、現状は厳しい到達です。世界気象機関(WMO)が11月下旬、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の大気中の平均濃度が、産業革命前の水準と比べると46%増となり、過去最高を更新したと発表しました。パリ協定の実現が容易でなく、各国のさらなる対策が必要だという警告です。

 こうした現実の中、COP24の大きな任務は、パリ協定の実施ルールの合意をめざすことです。これまでの準備会合で、主要国と途上国間で合意が必要なルールの在り方、資金支援など論点が浮かび上がっています。パリ協定の枠組みを守り前進させるための真剣な議論が期待されます。

 国別目標引き上げの対話促進も重要な任務です。各国が提出した現在の削減目標をすべて合わせても、地球の平均気温上昇を2度未満に抑えられず、3度程度の上昇が予想されています。そのため20年までに各国は目標を再提出します。目標の上積みに向けた機運を高めるため昨年のCOP23で開始された「タラノア対話」は、各国閣僚クラスによってCOP24でも続けられます。各国は意欲的な目標の引き上げをはかるべきです。

 「脱炭素化」の流れは世界的なうねりです。欧州など各国の取り組みのほか、先進的な温暖化対策を進める自治体、企業や投資家、市民など「非国家アクター」の活動も活発化しています。昨年、トランプ米政権はパリ協定離脱を表明しましたが、今年9月には州政府や企業など3600が結集してパリ協定を守ることを宣言するなど、米国内での運動は大きく広がっています。同政権の孤立は国内外で浮き彫りです。

日本は国際的責任果たせ

 石炭火力発電所の国内での建設や輸出を進める安倍晋三政権に批判が高まっています。石炭火力発電と原発を「ベースロード(基幹)電源」と位置づけた「エネルギー基本計画」に固執する道理のなさは明らかです。姿勢を改めるべきです。国際的にみて低い日本の温室効果ガス削減目標を抜本的に引き上げ、世界への責任を果たすことが求められています。


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