2018年11月9日(金)
入管法改定案 現状では審議入りの前提ない
徹底審議で廃案に 志位委員長が表明
日本共産党の志位和夫委員長は8日、国会内の記者会見で、政府が外国人受け入れ拡大を目指す出入国管理法改定案について、「今国会の審議を通じて、深刻な人権侵害の実態を放置したまま受け入れを拡大することは、矛盾をはなはだしくするもので許されないということが明確になった」と述べ、「現状では審議入りの前提がない」と強調するとともに、「徹底審議のうえ廃案に追い込む」と表明しました。
志位氏は、審議を通じて、技能実習生制度を中心に職場選択の自由、居住の自由などが制度上許されていない人権侵害にあり、実習生を雇用する事業所の7割で労働基準法違反があるなど現行の労働法制が守られていない無権利状態が明らかになったと指摘。失踪の原因の87%が「低賃金」で、その中には違法な「契約賃金以下」「最低賃金以下」の低賃金もあったと強調しました。
さらに受け入れ拡大の仕方が雇用の調整弁そのものだとして、「まさに外国人の使い捨て労働を拡大するものだ」と批判。外国人の人権を守る保証がまったくない現状で「来年4月からの拡大など論外だ」と力を込めました。
志位氏は、法律の形式が「政府が何でも決められるがらんどうの白紙委任だ」とし、審議では政府が「あらゆる問題でまともな答弁ができていない」と強調。「現状では審議入りの前提がない」として、少なくとも(1)政府が来年4月に見込む4万人の拡大の内容と(2)失踪した労働者の個々のデータの提出が「審議を行ううえでの重要な前提になる」と批判しました。
その上で志位氏は、法案が「外国人労働者の人権に関わる大変重要な法案であるとともに、日本の労働者の権利にも深く関わってくる問題」だと指摘し、「外国人労働者の権利を守ることなしに、日本の労働者の権利を守ることもできない。徹底審議の上で廃案に追い込む」と意気込みを語りました。