2018年11月3日(土)
論戦ハイライト
安倍政権に民主主義と沖縄の自治を否定する権利はない
衆院予算委 赤嶺議員が追及
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沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対の意思を示した県民と、国との対話を求めた玉城デニー知事の思いを安倍政権は拒み、県の辺野古埋め立て承認撤回の効力停止を決定し、工事を再開しました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は2日の衆院予算委員会で、「総理には、憲法に保障された民主主義と地方自治を否定する権利はない」と糾弾しました。
辺野古新基地
法のねじ曲げと批判 「国家権力が国民の権利を押しつぶす」
沖縄防衛局が「国民の権利利益の救済」を目的とする行政不服審査法を使い、県の埋め立て承認撤回の効力停止を申し立て、石井啓一国交相が認めたことについて、安倍首相は「法治国家として法律に基づき必要な手続きが行われた」と正当化しています。
赤嶺 安倍政権は「県民の気持ちに寄り添う」といいながら民意を無視し、法解釈をねじ曲げ、基地建設を強行した。玉城知事との話し合いに応じるべきだ。
首相 政府と沖縄県との間では協議の枠組みがある。基地負担軽減の政府の取り組みについて地元に丁寧に説明していく。
赤嶺 工事を再開しながら話し合うというのは、話し合いではない。執行停止決定の撤回を強く求める。
赤嶺氏は、行政法研究者110人が政府の対応について「行政不服審査制度を濫用するもので、法治国家に悖(もと)るものと言わざるを得ない」と却下を求めた声明を紹介し、首相に認識を問いました。
首相 意見は学術界での議論でありコメントはしない。
赤嶺 極めて不誠実な姿勢だ。国民の権利を守る制度を国家権力が国民の権利を押しつぶすために使うのは絶対に許されない。
赤嶺氏は、国交相が効力停止を決めた背景に「普天間飛行場(基地)のキャンプ・シュワブへの移設」を明記した2006年の閣議決定があると強調。「内閣には対外的な一体性・統一性が求められ同決定に拘束される立場にある」と指摘したのに対し、石井国交相は「内閣の方針には従うが、双方(県と沖縄防衛局)の意見を聞いて判断した」と強弁しました。
赤嶺 辺野古の基地建設を進める閣議決定に拘束される国交相が、沖縄防衛局の申し立てを認めるのは最初から分かりきったことだ。
首相 国交相は関係法令にのっとって判断した。
同じ答弁を繰り返す首相に対し、赤嶺氏は、石井国交相が執行停止決定の理由に、普天間の危険性除去と日米同盟への悪影響をあげていることを指摘。「政府の方針に沿って、同じ政府機関同士で、形だけの審査を装っただけだ。どうして中立公正と言えるのか」とただしました。
玉城デニー知事は今回の政府措置について「内閣の内部における、自作自演の極めて不当な決定。審査庁として公平性・中立性を欠く判断がなされたことに強い怒りを禁じえない」と述べています。赤嶺氏は「この指摘を重く受け止め、執行停止は直ちに撤回すべきだ」と強く求めました。
普天間運用停止
一刻の猶予もならない 築城や新田原整備基地強化誇る首相
日本政府は、米軍普天間基地の返還時期を新基地完成後の「2022年又はその後」とし、沖縄県に対しては仲井真弘多元知事に「19年2月」までに運用を停止すると約束していました。安倍首相は、新基地完成前でも普天間基地を運用停止する方針だったのです。
赤嶺氏は「普天間基地の運用停止は一刻の猶予もならない問題だ」と強調。同基地所属のオスプレイやヘリの墜落事故、所属機の保育園・小学校への部品や窓の落下事故をあげ、「こうした現状をいつまで放置するのか。約束通り19年2月までに普天間基地を運用停止すべきだ」と迫りました。
これに対して安倍首相は、辺野古の埋め立て承認を撤回するなど知事の態度が変わったことを理由にあげ、「5年以内の運用停止を実現することは難しい」と述べました。
ただ、普天間基地の危険性と住民の苦しみは、日本政府自身が埋め立て承認撤回の執行停止申立書で強調していることです。
赤嶺氏は、住民の命が危険にさらされるなかで、県知事の立場の変化を理由に「19年2月までの運用停止」に取り組まないことは許されないと批判。「いま必要なことは、政府が住民の安全を最優先にする立場に立つことだ」と強調しました。
赤嶺 辺野古の問題とは切り離し、普天間基地の運用をただちに停止することを決断すべきだ。
首相 一日も早く辺野古移設を行いたい。
あくまで辺野古に固執する安倍首相。KC130空中給油機の岩国基地への移転につづき、緊急時の米軍機の受け入れ機能を「福岡県・築城基地や宮崎県・新田原基地に移すことを決定した」として、滑走路延長や弾薬庫設置などの整備を日米間で合意したことを誇りました。
赤嶺氏は、普天間基地にはそもそも弾薬庫がないことを指摘し、「普天間にないものを築城や新田原につくろうとしている。米軍基地の強化だ」と批判しました。
赤嶺氏は、翁長雄志前知事の県民葬で菅義偉官房長官が安倍首相の追悼の辞を代読した際、「県民の皆さんの気持ちに寄り添う」とのくだりに会場から批判や抗議の声が上がったことを紹介。「やっていることと言うことがあまりにも違いすぎる。県民の心を逆なでする言葉だ」と批判し、一方的に土地を奪われて基地を建設された基地問題の「原点」を学ぶべきだと訴えました。