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2018年10月31日(水)

アジア・太平洋地域米軍 関与強化狙う

ミサイル防衛・軍事作戦の拠点化

相模補給廠の新司令部

 米陸軍の物資を備蓄し供給する相模総合補給廠(しょう)=神奈川県相模原市=に陸軍の防空作戦司令部が新たに発足(16日)し31日、在日米陸軍キャンプ座間(相模原、座間両市)で編成式を行います。新たな司令部の配備は、アジア地域を重視し、関与を強める米軍が、日本を弾道ミサイル防衛と軍事作戦の拠点として利用する一環です。(佐藤つよし)


図

神奈川・相模原

 相模総合補給廠に発足したのは、米陸軍第38防空砲兵旅団司令部です。現在、日本に駐留する嘉手納基地(沖縄県)のパトリオットミサイル大隊、車力(青森県)、経ケ岬(京都府)両通信所のXバンドレーダーの中隊を指揮・管理下に置くとみられます。

 米陸軍の防空砲兵旅団司令部は、パトリオットや高高度で落下する弾道ミサイルを破壊するTHAAD(サード)などの迎撃ミサイル部隊を指揮下に置く司令部です。役割は(1)インド・太平洋地域など戦域レベルの米国のミサイル防衛(2)軍事作戦を指揮する陸軍司令部の防空―です。これらを実施する迎撃ミサイル部隊の訓練や装備の準備、必要な部隊の作戦実施地域への派遣などが主要な任務です。

米本土の防衛も

 米軍はインド・太平洋全域の弾道ミサイル防衛を、ハワイの太平洋空軍司令官が陸軍の迎撃ミサイル部隊、海軍のイージス艦、空軍の偵察機や迎撃機など、陸海空・海兵隊の全部隊を一括して指揮する統合作戦体制をとっています。第94陸軍防空ミサイル防衛司令部(AAMDC、ハワイ)が、太平洋空軍司令部の下で統合作戦司令部の副司令官を兼務し、陸上配備部隊を指揮します。第38防空砲兵旅団は、第94AAMDCの傘下にあります。

 同旅団司令部の発足により、太平洋空軍・第94AAMDCの指揮下で、日本は米本土などを守る米軍の弾道ミサイル防衛の拠点に組み込まれることになります。

作戦部隊の防御

写真

(写真)陸軍の防空砲兵旅団司令部が発足した相模総合補給廠=相模原市

 第38防空砲兵旅団司令部のもう一つの主要な任務は、軍事作戦を実施する部隊や基地など重要施設の防御です。すでに、嘉手納基地のパトリオット部隊は横田(東京都)、岩国(山口県)、普天間(沖縄県)の各基地への展開訓練を実施しています。

 インド・太平洋地域では、陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)が、2012年以降、軍事作戦司令部として、アジアへの関与を強化しています。キャンプ座間(神奈川県)には、緊急事態に即応する同軍団の前方司令部が配備されています。

 相模総合補給廠への司令部新設は、米国のアジア重視政策に対応しインド・太平洋地域で作戦をする司令部・部隊の防空体制の具体化です。

 相模原市は今月4日、防衛、外務両省に対し、事前相談もなく突然、新司令部駐留が伝えられたことを「はなはだ遺憾」でこれ以上の新たな負担は受けることはできないとして、司令部新設で相模総合補給廠の機能強化・恒久化につながらないことなどを求める要請をしています。


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