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2018年10月31日(水)

民意無視の安倍政治に正面対決

衆院本会議 志位委員長の代表質問

 30日の衆院本会議の代表質問で、安倍政治を真正面からただした日本共産党の志位和夫委員長。安倍晋三首相は、聞かれたことにまともに答えず、「ご指摘は当たらない」と逃げるだけで、安倍政治の破たんがあらゆる面で浮き彫りになりました。


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(写真)代表質問に立つ志位和夫委員長=30日、衆院本会議

沖縄辺野古新基地

不服審査乱用に抗議

 防衛省沖縄防衛局が辺野古埋め立て承認を撤回した沖縄県への対抗措置として、行政不服審査法を乱用して行った効力停止の申し立てについて、石井啓一国交相は30日、承認撤回の執行停止を決定しました。志位氏は質問で、「無法な決定に満身の怒りを込めて抗議する」と述べ、民意を踏みにじる安倍首相をただしました。

 安倍首相は24日の所信表明で「沖縄のみなさんの心に寄り添う」と述べ、県知事選で圧勝した玉城デニー知事から「話し合いの場を設けてほしい」と要望を受けていました。志位氏は「対話による解決すら拒否するというのは、民主主義の国では許されない態度だ」と指摘しました。

 行政不服審査法の目的は、行政機関が国民(私人)の権利を侵害した際の救済です。志位氏は、国が私人として同制度を乱用して防衛省の申し立てを国交相が審査するのは「自作自演」で「公正な手続き」ではないと断じ、「総理、あなたは沖縄には法治主義を適用しないとでもいうのか」と迫りました。

 安倍首相は、「法治国家として法律に基づき、必要な法的手続きが行われたと認識しており、尊重すべきものと考えている」と強弁。志位氏の指摘に対し「いずれも当たらない」と、根拠を述べずに開き直りました。

 志位氏は、国交相の執行停止決定の撤回▽沖縄県との真剣な話し合いの場を設けること▽米国に普天間基地(宜野湾市)の無条件撤去を求める対米交渉―を強く求めました。

 あわせて、世界でも異常な日米地位協定の抜本改定を要求しました。協定は、在日米軍が国内法を無視して自由に訓練する特権を与えており、全国知事会は「日米地位協定抜本見直し」を求める「提言」を全会一致で採択しています。

 安倍首相は地位協定について、実際は成果をあげていない「補足協定の策定が実現した」と誇張。「抑止力を維持しながら、基地負担の軽減に全力で取り組んでいく」と、辺野古新基地建設への固執ぶりをみせました。

消費税10%増税

中止こそ最良の対策

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 安倍政権がたくらむ来年10月からの消費税10%増税計画には、いくつも重大な問題があります。

 安倍政権が14年4月に8%への増税を強行して以降、「増税の影響は一時的」どころか家計消費は落ち込み続けています。志位氏は、2人以上世帯の実質家計消費が、増税前の13年の平均364万円から最近1年間の平均339万円まで25万円も減っている実態を告発。「ふたたび5兆円もの大増税を強行すれば、消費はますます冷え込み、日本経済に破滅的な影響を及ぼすことは明らかではないか」とただしました。

 安倍政権は増税に伴う需要低迷対策を打ち出しています。消費者に、増税2%分をポイント還元することを検討しています。中小小売業でクレジットカード支払いなどのキャッシュレス決済を利用した人が対象です。

 志位氏は、消費税増税の担当相である麻生太郎財務相がポイント還元の実現性に疑問符をつけていることも指摘。「この制度は中小小売業者に多大な負担と混乱を強いることになる。何より一時的な施策にすぎない」「景気対策というなら増税を中止することが最良の景気対策だ」と強調しました。

 その上で、志位氏は、政府が消費税を増税しようとする一方で富裕層と大企業を税制優遇していることを糾弾しました。

 安倍政権の下、自民党への企業献金は13億円から23億円に倍増する一方で、4兆円もの大企業減税が行われました。

 志位氏は「社会保障と子育て・教育のための財源というなら、富裕層と大企業への優遇税制にメスを入れ、応分の負担を求める税制改革に取り組むべきだ」と求めました。

 安倍首相は、増税を前提に「経済に悪影響を及ぼさないよう全力で対応する」などと述べました。

 増税対策についての麻生財務相の発言(10月16日、記者会見)

 「(来年10月の増税にむけて)今細かい話が、こうしたらいい、ああしたらいい、いろいろ今出ている」「田舎で、魚屋で買い物をしたことがあるかしらないけれども、クレジットカードなんかでやっておる人はいないからね。そういうところで現金で、かごの中から出してバッとやっていくという、あの中で、はい、8%、10%、還元なんていう話がどれだけうまくいくか」

安倍9条改憲

中身以前の三大問題

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 志位氏は、海外での自衛隊の無制限の武力行使に道をひらく憲法9条改定案を、臨時国会に提出すると首相が公然と宣言していることに対し、「中身以前の大問題がある」と3点突きつけました。

 第一は、政治的中立を最も厳格に守るべき実力組織の自衛隊に、最高指揮官の首相が改憲の号令をかけたことです。志位氏は、「自衛隊の最悪の政治利用だ」と、憲法の尊重・擁護を義務付けた憲法99条に違反していると指摘しました。

 第二は、行政府の長の首相が「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示すこと」「国会議員の責任を果たそう」と、憲法の三権分立を蹂躙(じゅうりん)する暴論を展開し、立法府の国会に介入・干渉した点です。

 第三は、自民党改憲案を臨時国会に提出することに各紙世論調査で「反対」多数の結果が出ているにもかかわらず、改憲議論を強引に推し進める安倍首相の「憲法の私物化」です。「国民が望んでもいないのに、権力を握る政権与党が権力への制約を取り払う改憲論議を強引に推し進めることは、それ自体が立憲主義の乱暴な否定だ」と批判しました。

 志位氏は「憲法を守らない総理に、憲法を語る資格はない」と迫りました。安倍首相は3点の指摘に対し、いずれも「私の責任を述べただけだ。指摘は当たらない」と理由を述べずにはぐらかし、「政党が具体的な改正案を示すことで国民の理解を深める努力を重ねる」と答えました。

災害後の生活再建

二つの問題取り上げ

 志位氏は、災害からの生活再建にかかわって緊急・切実な二つの問題を取り上げました。

 一つは、災害救助法にもとづく応急修理制度の支援を受けると、仮設住宅への入居ができない問題です。志位氏は、熊本地震や西日本豪雨災害の被災地の実態を示し、「二者択一」の押し付けをやめて安心できる住まいの確保を求めました。

 もう一つは、東日本大震災から7年半が経過してもなお、多くの被災者が避難生活を余儀なくされている問題です。志位氏は、原因の一つは、自力で住宅再建できないことにあるとして、全壊の支援額を300万円から500万円に引き上げ、支援対象を半壊、一部損壊にも広げる被災者生活再建支援法の改正を求めました。

 安倍首相は、被災者生活支援法の改正について「支給対象の拡大や支給額の拡大は国や都道府県の財政負担等の課題があり、慎重に検討すべき」と後ろ向きの姿勢を示しました。

政治モラルの崩壊

「時空を超えた虚構」

 政治モラルの崩壊も深刻です。

 志位氏は、安倍首相が森友・加計問題について、昨年の総選挙で「国民の審判を仰いだ」と述べたことについて、森友疑惑での公文書改ざん発覚や加計疑惑での愛媛県文書の判明などは、いずれも総選挙後だとして「時空を超えた虚構だ」と批判。ところが、安倍首相は「総選挙の後に明らかになった改ざんされた決裁文書等を踏まえてもなお、これまでの説明が覆ることはない」などと強弁しました。

 また、志位氏は、麻生太郎財務相のもとで、公文書改ざん、セクハラ疑惑などが引き起こされたことをあげ、「行政の信頼をここまで失墜させた人物をなぜ留任させたのか」とただしました。安倍首相は「麻生財務大臣・副総理には安倍政権発足以来、経済の立て直しに腕をふるってもらい、大きな成果をあげてもらった」などと開き直りました。


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