2018年10月23日(火)
退職者計上 死亡の例も 障害者雇用水増し
中央省庁不正3700人
第三者委報告書 「原点解明できず」
中央省庁の障害者雇用率水増し問題を調査した第三者検証委員会(松井巖委員長)は22日、2017年6月時点で3700人を法定雇用率の対象障害者として不正に計上していたとする報告書を発表しました。障害者雇用対策で率先垂範すべき中央省庁で「障害者雇用に対する意識が低く、緊張感に欠ける状況」がまん延し、雇用率達成のための恣意(しい)的で不適切な計上が長年続いてきたと認定しました。
不正があったのは、省庁に会計検査院などを加えた国の33行政機関のうち28機関で、最多は国税庁の1103人。3700人中91人は退職者などですでに在籍しておらず、中には死亡者もいました。省庁全体の実際の障害者雇用率は法定雇用率の半分の1・18%にとどまりました。
この問題では、障害者団体から過去にさかのぼった徹底的な原因究明を求める声が上がっています。報告書は、遅くとも1997年ごろから4機関で不正な手続きが始まるなど「大規模な不適切計上が長年にわたって継続」していたとしながら、法令違反を認識した上での「意図的」な水増しは見当たらないと結論づけました。
松井委員長は記者会見で、安易な前例踏襲が繰り返されてきたと批判しつつ「(問題の)源流、原点は解明できなかった」と認めました。
政府は同日、再発防止に向けた障害者雇用に関する基本方針を発表しました。障害者団体などが求めていた、雇用率未達成の民間企業に課している納付金制度の省庁への適用や、障害者雇用をチェックする第三者機関の設置は、「制度になじまない」「厚生労働省がチェック機能を果たす」(厚労省)などとして盛り込みませんでした。