2018年10月17日(水)
おおすみ裁判 被告、避航義務を全面否定
原告「不合理な主張」
瀬戸内海の広島沖で海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」(基準排水量8000トン)が釣り船「とびうお」(5トン未満)に衝突し沈没させ、船長ら3人を死傷させた真相究明と損害賠償を求める訴訟の第12回口頭弁論が16日、広島地裁(谷村武則裁判長)で開かれました。
弁論では、おおすみの変針点での左転による追い越し態勢での「とびうお」への接近が新たな衝突の危険性を生じさせ、海上衝突予防法(13条)での同艦による避航動作を怠ったことが衝突の原因との原告側主張に対する被告の準備書面をめぐって、原告側が反論しました。
被告側は準備書面で、「おおすみに予防法13条が適用される余地はない。避航義務はなく衝突回避の右転に過失はない」と全面否定しています。
原告弁護団の田川俊一弁護士は「おおすみ見張員やとびうおの乗客の証言からも両船は追い越し船の関係にあり、変針点での左転で新たな危険を生じさせたおおすみが(衝突の)危険を解消する義務を負っていたが避航動作を怠った」と指摘。
原告側の調査で判明した艦橋音響情報(録音)での衝突3分前の「やばい」、衝突1分前の「避けられん」発言について、被告側が「発言者が不明」「とびうおの右転がなかったとは言えない」と弁明。これに対して原告側は、「衝突1分前から徐々にとびうおが右転したという、被告が金科玉条にする運輸安全委員会報告を崩すものであり、その主張は不合理だ」と追及しました。
おおすみ事件の真相究明と裁判を支援する会は弁論終了後、公正裁判を求める署名の第1次分(約1000人分)を裁判所に提出しました。
次回期日は12月11日午後3時から。