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2018年10月13日(土)

国会人事も改憲シフト

首相側近・「日本会議」議連中枢など盟友ズラリ

安倍自民党

 自民党は衆院の憲法審査会の筆頭幹事に新藤義孝元総務相をあて、参院憲法審査会の筆頭幹事に石井準一筆頭副幹事長をあてる方向で最終調整しています。新藤氏は、安倍晋三首相を支援する議連「創生日本」の役員を務める首相に近い人物で、日本会議国会議員懇談会の中枢メンバーの一人。石井氏は、参院国会対策の中心を担ってきた強硬派です。

 また衆院議院運営委員長に首相側近の一人、高市早苗元総務相をあてました。前任の古屋圭司氏は日本会議国会議員懇談会会長で、高市氏は同懇談会の中枢メンバー。高市氏がバトンを受け継ぎ、改憲発議の際の本会議運営に備える布陣です。

 安倍首相はさきの党役員人事で、党憲法改正推進本部長に盟友の下村博文元文科相を、党の最終意思決定機関の総務会の会長にも側近の加藤勝信前厚労相を抜てき。幹事長代行にもやはり側近の萩生田光一元総裁特別補佐を、新たな総裁特別補佐には稲田朋美元防衛相をあてるなど、改憲推進を狙って要職に側近をずらりと配置しています。

 安倍首相は、24日に召集予定の臨時国会で自民党改憲案について説明するとしており、党内の慎重論をも排して、自身の意思を忠実に反映できる態勢を強めています。

解説

強権姿勢 弱さの表れ

 党の要職や衆参の憲法審査会など改憲にかかわる役職を、自身の側近や盟友で固める露骨な改憲シフトを強める安倍晋三首相―。まさに党内や与党・公明党の慎重論をも排して、力ずくで改憲を進めようとする布陣です。

 その強権姿勢と改憲への執念を決して侮ることはできません。一方でこうした強権姿勢は、安倍首相の強さの表れではなく弱さと孤立をあらわすものでもあります。

 9条改憲の必要性の認識が国民の間でわずかしかないことに加え、安倍改憲への反対が多数を占める中、公明党も世論に包囲され与党協議を開くことさえ拒否。そもそも自民党の改憲案自体が固まっていない状態です。

 さらに秘密保護法や安保法制=戦争法で立憲主義を乱暴に破壊した安倍政権・自民党に改憲を語る資格はないこと、森友・加計問題をめぐる公文書改ざんや虚偽答弁によってまともな議会運営ができない状態になっていることなどから、野党は安倍改憲阻止で一致しています。

 衆参の憲法審査会に改憲原案を議員提案する場合、衆院で100人以上、参院で50人以上の賛成が要件とされています。法律案の提出よりはるかに厳格なのは、単に改憲案が重要であるだけでなく、与野党合意、少なくとも野党第1党の賛成を必要とする趣旨からです。この趣旨を厳格に踏まえれば、改憲案を提案すること自体が不可能な状況です。

 強権発動を可能とする改憲シフトは、こうした孤立を突破しようとするもの。しかし、強引なやり方はますます世論と野党、さらには公明党の反発をも強め改憲論議を困難にします。自民党の憲法審査会関係議員からも「こんなやり方でうまくいくはずがない」という強い批判の声も漏れます。

 (中祖寅一)


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